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[II-TOR04-02] 聴力障害をもった先天性心疾患の高校生とその母親への自己管理を促す支援の振り返り
キーワード:自己管理、先天性心疾患、高校生
【はじめに】聴力障害をもった先天性心疾患の高校生とその母親と関わった結果、患児が病気へ関心をもち自己管理が出来るようになった。患児が意欲を持ったきっかけ、患児と母親の思いがどう影響していたのか明らかにし、病棟看護師による支援方法を検討する。【方法】研究期間平成X年2月~10月。自己管理について看護記録と半構成的面接の内容を患児、母親の言動・反応、医療者の関わりに分け、入院前から退院後まで時系列に沿って後方視的に分析した。【事例】Aくん、16歳、高校生。DORV、TCPC後、PLE。聴力障害があり聾学校に在籍、寄宿舎で生活。母親、40歳代。【倫理的配慮】対象者及びその家族に書面と口頭で説明、調査施設の倫理委員会の承認を得て実施した。【結果・考察】Aくんが自己管理へ意欲を持ったきっかけは、入院中に母親や医療者と関わる中で自分の生活を見つめ直した事であった。入院当初は病気への関心が低かったが、理解した事で体調を気にかけるようになった。先天性心疾患の理解は容易ではないが、Aくんが理解できるまで手話や筆談を用いて繰り返し説明した事で、病気の理解が深まり自己管理へ繋がったと言える。また、母親の思いや価値観を知り看護師と母親で目標を共有し、母親が自己管理を促せるよう支えた事でAくんの変化に合わせ積極的に関わる事ができた。「お母さんが気をつけるようによく言ってた」という言葉から母親の関わりが意欲を持つきっかけの一つになったと言える。Aくんは「お母さんへは何でも話せる」と言い母親への依存が強かったが、母親は自己管理の必要性を感じていたため過干渉にならず促す事ができた。病棟看護師は患児と関わる時間が増えるため、障がいや発達段階に合わせた個別的な支援が可能である。患児の意欲を引き出すために、患児の気持ちや病状の変化を見逃さずタイミングを見極めて介入する事、母親がサポート的役割を果たせるよう支援する事が重要となる。