15:30 〜 16:20
[II-TOR05-02] 先天性心疾患で看取りになった症例における病理解剖の意義~陪席するリエゾンナースの立場から~
キーワード:看取り、病理解剖、リエゾンナース
【はじめに】近年、先天性心疾患領域においては、検査・治療技術の向上により、早期診断が可能になり、生命予後だけでなく、QOLの向上が可能になっている。A大学病院では、先天性心疾患を周産期から成人期に至るまでチームで継続支援するシステムが構築されている。支援している子どもの中には、様々な要因で看取りになることがある。A大学病院ではこのような症例には可能な限り病理解剖を実施している。今回は家族における病理解剖の意義ついて事例を通して検討したい。尚、本報告において個人情報保護を遵守し、個人が特定されないよう配慮している。【取組み】A大学病院での先天性心疾患に関わる継続支援チームメンバーは、多職種で構成されており、リエゾン精神看護専門看護師(以下リエゾンナース)は子どもと家族、スタッフの心理・社会的側面を中心とした伴走者としての役割がある。支援する中で治療の効果なく看取りとなった症例にもグリーフケアの視点で積極的に介入している。平成26年度に4症例が看取りになり全例病理解剖を実施し、うち3症例は結果説明にリエゾンナースが陪席した。家族からは「この子の頑張りにも意味があった。」「原因がわかって良かったが、辛い気持ちもある」「安心して聞くことができた。」という評価がある。【考察】奥ら(2008)は、看取りになった場合の病理解剖をすすめることの必要性を述べている。しかし、家族にとっては、病理解剖結果を死後数カ月経過して聞くことは、当時の状況に直面することになるため、辛い体験になり得る。その一方で、死因が解明できる事で、家族の悲嘆を遷延させないことに繋がるとも考える。このように病理解剖の持つpositive、negativeな両側面を理解した上で、悲嘆を専門とするリエゾンナースが積極的に介入し、病理解剖が遺された家族にとっての意味を共に考えていくことは意義がある。今後も同様なアプローチを継続してアウトカム評価を行いたい。