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[III-OR110-05] イソプロテレノール負荷による右室流出路狭窄の評価
キーワード:右室流出路狭窄、イソプロテレノール負荷、圧較差
【背景】右室流出路狭窄は、多くの場合安静時の心臓カテーテル検査や心臓超音波検査で評価されるが、運動時などでは心拍出量が増加し圧較差が増大することが予想される。一方、イソプロテレノール(ISP)は、β刺激作用により心拍数、心収縮力を増加させ、虚血性心疾患や大動脈狭窄などにおける運動負荷試験の代用検査として用いられている。今回我々は、右室流出路狭窄に対して心臓カテーテル検査中にISP負荷を行い、血行動態の変化を検討した。【対象と方法】対象は、1997年1月1日から2015年12月31日の間に当科で心臓カテーテル検査中にISP負荷を行った右室流出路狭窄のある患者19例。ISP負荷前後における主肺動脈-右室圧較差、右室拡張末期圧、有害事象の有無などについて後方視的に検討した。ISP負荷は0.02γで、心拍数が1.2倍または150回/分以上に上昇することを目標に行った。【結果】年齢は中央値6歳(1-18歳)、疾患の内訳は肺動脈弁狭窄10例、心室中隔欠損+右室流出路狭窄術後4例、ファロー四徴症術後1例、完全大血管転位術後1例、純型肺動脈閉鎖術後1例、右室低形成術後1例、重度大動脈弁狭窄術後(Ross手術)1例であった。主肺動脈-右室圧較差は、負荷前が25±9mmHgであったのに対し、負荷後59±32mmHgと有意に増大し(p<0.01)、右室圧/左室圧(または大動脈圧)比も負荷前0.50±0.12、負荷後0.78±0.25と有意に増大した(p<0.01)。右室拡張末期圧は負荷前6.3±1.8 mmHg、負荷後4.1±2.6 mmHgで、負荷後有意に低かった(p<0.01)。不整脈などの有害事象は認めなかった。【結語】右室流出路狭窄が軽度と判断される症例も、ISP負荷により圧較差が増大した。安静時検査で圧較差が軽度であっても、日常生活や運動時には圧較差が増大していることが想定される。右室流出路狭窄におけるISP負荷は、運動管理やその後の治療方針を決める上で有用な指標となる可能性が示唆された。