第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

心筋心膜疾患

一般口演1-16(III-OR116)
心筋心膜疾患

2016年7月8日(金) 11:05 〜 11:55 第D会場 (オーロラ イースト)

座長:
中島 弘道(千葉県立こども病院 循環器内科)

III-OR116-01~III-OR116-05

11:05 〜 11:55

[III-OR116-02] 当院における若年者閉塞性肥大型心筋症に対する心筋切除術の適応と治療成績の検討

石井 卓1, 齋藤 美香1, 稲毛 章郎1, 中本 祐樹1, 浜道 裕二1, 上田 知実1, 矢崎 諭1, 嘉川 忠博1, 和田 直樹2, 安藤 誠2, 高橋 幸宏2 (1.榊原記念病院 小児科, 2.榊原記念病院 心臓血管外科)

キーワード:閉塞性肥大型心筋症、若年者、心筋切除術

【目的】若年者における心筋切除術の適応と効果を検討すること。【対象と方法】2008年以降に当院で閉塞性肥大型心筋症に対する心筋切除術を施行した症例のうち手術時年齢が18歳未満の症例を対象とし、診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】総症例数は15例で、患者背景は男性8例(53.3%)、基礎疾患あり4例(36.7%)だった。手術適応の主要因は有症状7例(46.7%)、高度の圧較差5例(33.3%)、手術が必要な他病変の存在3例(20.0%)だった。手術適応が左室流出路の圧較差のみだった5例における術前圧較差の中央値は安静時心エコーで112mmHg(85-159mmHg)、カテーテルの同時圧測定で70mmHg(59-86mmHg)だった。手術症例は全例術前に内科的治療を受けており、β遮断薬投与例は15例(100%)、Cibenzoline投与例は14例(93.3%)だった。手術時年齢の中央値は15.4歳(2.5-17.7歳)で、うち4例は手術時年齢が10歳未満だった。術中、心筋切除に加えて4例で僧帽弁手術(形成1例、置換3例)が、1例でCABGが行われた。周術期に認めた合併症は頻脈性不整脈3例、胸水または心嚢水3例、完全房室ブロック1例(ペースメーカ植込み)で、死亡例は認めなかった。術前に失神を認めた症例では術後に3例でICDの植え込みを行った。術後最終評価時の左室流出路圧較差は中央値7.0mmHg(4-96mmHg)で、術前に比べて有意に減少を認めた(エコー計測値で比較、術前中央値 85mmHg、19-159mmHg, p 0.01未満)。残存圧較差が50mmHg以上の症例は1例、20-50mmHgの症例は3例だった。退院後に症状を認めたのは4例(失神1例、労作時易疲労3例)で、突然死やICDの作動は認めなかった。【結論】若年者においても閉塞性肥大型心筋症における心筋切除術の成績は良好であった。狭窄の十分な解除や症状の改善が困難な症例が存在するため、適応についての十分な検討と慎重な術後管理が重要と考えられた。