第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

術後遠隔期・合併症・発達3

一般口演1-21(III-OR121)
術後遠隔期・合併症・発達3

2016年7月8日(金) 09:15 〜 10:05 第E会場 (シンシア ノース)

座長:
小林 富男(群馬県立小児医療センター 循環器科)

III-OR121-01~III-OR121-05

09:15 〜 10:05

[III-OR121-03] Fontan患者における日常の活動量と自律神経バランス、肝機能の関連

今西 梨菜1, 簗 明子2, 桑田 聖子2, 栗嶋 クララ2, 杉本 昌也3, 岩本 洋一2, 石戸 博隆2, 増谷 聡2, 先崎 秀明2 (1.名寄市立総合病院, 2.埼玉医科大学総合医療センター 小児循環器科, 3.旭川医科大学)

キーワード:カロリー消費量、自律神経バランス、肝機能

【背景】Fontan患者の日常の活動量(AEE)は、循環動態のみならず、自律神経バランス、肝うっ血と密接に関連していると思われるが、その関連性は明らかでない。【目的】Fontan患者の理想的な活動量を導きだす一助とすべく、AEEと自律神経バランス、肝機能との関連を調べた。【方法】Fontan患者39人(平均10.1歳)を対象に高精度行動量測定計を2週間装着してAEEを算出し、自律神経バランスの指標である高周波(HF)、低/高周波比(LF/HF)の値、肝うっ血の指標γ-GTP値と比較した。【結果】Fontan患者のAEEは252±108kcal/dayで、HF値6~7361ms2(1238±1645ms2), LF/HF値0.12~8.5(1.8±1.6)は幅広い範囲を示した。患者をHF値、γ-GTP値の高低で4群にわけて各群を比較したところ、最も予後が悪いと思われる低HF高γ-GTP群(交感神経ストレス多、肝うっ血有)はその他の群よりも有意にAEEが高かった(287kcal/day,p=0.01)。また、この群のAEE/心拍出量COは他の群より有意に高く(104.4±41.4,p=0.01)、単に活動量が多いだけでなく、心拍出量に見合わない多い活動量であることが推測された。最もAEEが低い群(213±82kcal/day)は低HF低γ-GTP群であったことから、日常活動量の過少は肝機能には良いが、自律神経バランスには良い影響を与えないことが示唆された。予後が最良と思われる高HF低γ-GTP群のAEE/COは69.2±28.0と平均値(83.9)に最も近い群で、心拍出量に対して見合った活動量をしている群と思われた。【結論】Fontan患者の日常の活動量は、自律神経バランスや肝機能と関連しており、相反因子を考慮した理想的な活動量を模索する必要がある。AEEの計測はその客観的評価に重要かつ有用な役割を演じると思われた。