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[III-S09-02] 先天性心疾患児の学童期知能指数と乳幼児期の発達指数の関係
【はじめに】先天性心疾患児は胎児期からの脳血流異常や周術期などの問題により、神経発達予後に影響を受けると言われている。当院では、2004年より先天性心疾患児の発達検査、知能検査を積極的に行い、患児の発達支援に努めてきた。【目的】当院で施行した発達・知能検査をもとに、学童期の知能指数と乳幼児期の発達指数の関連を明らかにすること。【方法】2004年10月から2015年11月までの間に当院で乳幼児期と学童期にそれぞれ発達検査と知能検査を施行した先天性心疾患児75人が対象。乳幼児期の精神発達指数(MDI)、運動発達指数(PDI)と学童期の知能検査(FIQ)との関連を調べた。発達検査はBayley2またはBayley3乳幼児発達検査、知能検査はWISC3またはWISC4を用いて評価を行った。【結果】乳幼児期のMDIとPDIはそれぞれ、91.6±12.0、91.0±17.0、学童期のFIQは93±14.0で正常と比べると低い傾向にあった。Fontan群とNon-Fontan群を比較すると、MDIは88.7±12.2 vs 96.0±14.0で有意差を認めなかったが、PDIは83.0±14.0 vs 96.0±14.0と有意差を認めた(p=0.0003)。乳児期MDIと学童期FIQの間には正の相関関係が見られ(R2=0.37)、乳児期にMDI<90の群は、MDI≧90の群に比べ学童期のFIQが有意に低く(84.0±13.0 vs 100±10.0, p=0.0001)、Fontan群ではより強い相関関係を認めた(R2=0.56)。一方でPDIにおいては同様の傾向は認めなかった。【考察】学童期FIQは乳幼児期MDIの影響を受ける。乳幼児期早期から発達評価を行い、適正な介入を行うことで学童期の知能指数の改善につながる可能性がある。