第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム9(III-S09)
周術期から遠隔期に渡る手術による精神・神経発達の評価

2016年7月8日(金) 10:20 〜 11:50 第B会場 (天空 センター)

座長:
市田 蕗子(富山大学医学部 小児科)
小山 耕太郎(岩手医科大学医学部 小児科学講座)

III-S09-01~III-S09-06

10:20 〜 11:50

[III-S09-03] 先天性心疾患を合併した患児に対する周術期から術後遠隔期の精神・神経発達評価

佐々木 孝1, 白川 真1, 渡邊 誠2, 吉野 美緒2, 橋本 佳亮2, 深澤 隆治2, 小川 俊一2, 新田 隆1 (1.日本医科大学付属病院 心臓血管外科, 2.日本医科大学付属病院 小児科)

先天性心疾患に対する外科治療の成績は改善し、2013年の胸部外科学会集計では開心術の手術死亡率は2.2%であった。中でも複雑心奇形の手術成績はこの10年間で著明に改善した。手術を乗り越えたこどもたちの遠隔期の問題として、精神・神経発達が注目を集めている。文献では新生児・乳児早期に心臓手術を受けたこどもの遠隔期の神経発達評価では、30%で軽度以上の発達の遅れが指摘されている。要因は多元的であるが、胎生期の脳血流の問題(術前因子)、手術侵襲・人工心肺の影響・虚血再灌流(術中因子)、周術期の低心拍出量症候群(術後因子)、さらに遠隔期に至るまでの社会環境などが考えられる。
当院では倫理委員会の承認の下、インフォームド・コンセントが得られた新生児・乳児の心臓手術時に、麻酔導入から術後ICU退室まで脳組織酸素飽和度を持続的にモニタリングし、Amplitude-integrated EEG(aEEG)を装着し脳機能を記録している。また術前後で脳MRIを撮影し、Bayley乳幼児発達検査(第3版)を用いた神経発達評価を行っている。周術期に脳循環が適切に保たれているか、術後器質的な脳病変が出現していないかどうか、術後の精神・神経発達が適切かを評価し、必要に応じて介入を行っている。
先天性心疾患を合併した患児の術後遠隔期の精神・神経発達の問題点を文献から考察し、当院での小児心臓外科術後神経発達フォローアップの取り組みについて報告する。