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[III-TOR08-05] 成人ユニットとしての外科系集中治療室における小児心臓血管外科の術後急変の経験と今後の課題
キーワード:小児心臓血管外科、術後急変、集中治療室
<背景>A病棟では小児の心臓血管外科術後の集中治療管理は外科系集中治療室(以下SICUとする)が担っている。A病棟SICUは様々な診療科の患者が入室するが、主な対象は成人患者であり、小児心臓血管外科患者の受け持ち看護師は熟練看護師に限定されている状況である。年間の症例が多くない病棟特性の中で、僅かな変化から急変に至った小児症例を振り返ることで病棟全体の質の向上を図る必要がある。<目的>小児の心臓血管外科術後の急変症例を多職種で振り返り、今後の安全な全身管理のための教育資料の作成と、急変から体外循環の導入までのシミュレーション教育の構築につなげる。<方法>症例の急変前後における情報から実際に看護師が実践した内容をもとに、対象者に対してアンケートやデブリーフィングを行った内容について報告する。倫理的配慮としてグループミーティングは研究に同意してくれた看護師のみで個室で行い、話し合った内容は口外しないように説明し、了承を得た。<結果>心肺蘇生を要するに至るまでの全身状態のアセスメントと医師-看護師間での情報共有の困難さ、またこれまで経験したことのなかった小児の体外循環の導入におけるチームとしての連動性の困難さが特徴として抽出された。<考察>限定された症例数の中から、一人ひとりの看護師の経験の蓄積と受け持ち看護師の底辺の拡大が困難であることが大きな課題であった。また、そのような状況の中で術後管理における急変場面を経験することは更に少なく、その稀少な場面を病棟全体でデブリーフィングを行い共有することが、今後の症例に対して安全な全身管理を提供するためにも非常に重要な方略であると示唆された。