第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

染色体異常・遺伝子異常2

ポスターセッション(P04)
染色体異常・遺伝子異常2

2016年7月8日(金) 13:50 〜 14:40 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
石戸 博隆(埼玉医科大学総合医療センター 小児循環器科)

P04-01~P04-06

13:50 〜 14:40

[P04-06] 先天性心疾患の手術非介入で経過している当院出生18trisomyの検討

今井 祐喜 (愛知県厚生農業協同組合連合会安城更生病院 小児科)

キーワード:18トリソミー、先天性心疾患、手術

【はじめに】18trisomyは一般的に予後不良であり、合併した先天性心疾患(以下CHD)に対する手術は消極的であった。近年は姑息術・根治術の報告が増えている。当院ではCHDに対する手術を行った例はない。【目的】当院で経験した18trisomyの経過と予後について検討すること。【方法】2005年4月~2015年12月までに出生した18trisomy計21例について、診療録を後方視的に検討した。【結果】全例にCHDを認めた。内訳はVSD13例、AVSD1例、TOF(VSD PS)3例、DORV1例、SV2例、不明1例であった。周産期死亡7例(内4例は初期蘇生時にterminal care)、1年生存率39%であった。2016年1月現在、生存6例、月齢中央値14.5(3~55)であった。NICU退院準備中の1例を除き在宅で過ごしている。死亡15例の原因は、呼吸不全12例(内気道感染2例)、胃腸炎・循環不全、消化管出血、突然死がそれぞれ1例であった。【考察】1年生存率が高いことに関して、新生児集中管理を行った場合の予後改善は過去にも報告されている。本検討でCHDの多くは左右短絡であったが、退院までの急性期に心不全となった例、手術(PDA ligationを含む)を必要とした例はなかった。原因として肺高血圧の持続が考えられた。退院後もCHDが直接の死因となった例はない。生存例は閉塞性肺血管病変の進行が危惧される。しかし経過が安定し、手術の有効性・予後改善効果は明確とは言えないため、これまで手術例はなかった。結果としては長期生存例もみられた。18trisomyは、生命予後・QOLの改善を見据えてどこまでの治療を行うか、家族の意思に依るところが大きい。CHDに関しても、情報を提示しつつ、児及び家族の状況を踏まえ最善を考える必要がある。【結論】CHD手術での予後改善が報告される一方で、非介入で長期生存する例が存在する。手術を治療の一手段として提案するにあたり、さらなる経験・情報の蓄積が望まれる。