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[P13-06] 新生児先天性心疾患のCT検査:有用性と安全性、適応判断
キーワード:CT検査、新生児先天性心疾患、有用性、安全性
【背景】当科では新生児先天性心疾患(nCHD)は心エコーで確定診断し、2008年以後は診断目的の心臓カテーテル検査は施行していない。一方、マルチスライスCT(MDCT)は、空間分解能と時間分解能が飛躍的に発展し、nCHDでの施行例が増加している。【目的】nCHDに対するMDCTの有用性と安全性を調査し、その適応を検討する。【方法】2012年1月から2015年12月にMDCTを施行したnCHDの42症例(43撮像)を対象とし、診療録と画像データベースより後方視的に調査検討した。CT装置はフリップス社製SOMATOM Definition flashを使用した。【結果】検査時日齢は13.1±8.5、内8例は緊急症例であった。気管内挿管は6例。全例トリクロリールシロップで鎮静し、必要に応じてチオペンタールやジアゼパムを追加した。主診断と主検査目的は、右側相同心9例は肺静脈還流形態、左心低形成症候群8例はNorwood手術前の大血管形態、肺動脈閉鎖兼主要体肺動脈側副血行路4例は肺動脈形態、総動脈幹2例と片側肺動脈大動脈起始2例は大血管と気管の関係、肺動脈弁欠損2例は肺動脈と気管の形態などであった。造影剤はイオパミドール(370mg/ml)を1.8±1.1ml/kg使用し、心電図同期22例、非同期21例、管内電圧は80KVp(縦隔炎評価は100KVp)で撮像した。CT angiographyのみの撮像時間は全例0.28秒、プレモニタリングなど含めた全撮像時間は2.5±0.4秒であった. いずれも心エコーでは評価困難な形態を明瞭に描出し得た。また大血管と気管の3次元構築は術前評価に有用とされていた。被ばくに関してはCTDI vol. 1.4±0.9mGy、DLP16±8.9mGy、実効線量0.7±0.36mSVと比較的低値であった。鎮静や造影による有害事象はなかった。【結論】nCHDに対するMDCTは安全に施行可能で、特に気管と大血管の形態評価において有用な情報を正確に提供できる。しかし新生児への被ばくの影響は未確定であり、他のモダリティーを用いてその適応を厳密に限定する事が重要である。