第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

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ポスターセッション(P14)
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2016年7月7日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
神山 浩(日本大学医学部 医学教育企画・推進室)

P14-01~P14-05

18:00 〜 19:00

[P14-04] エコー所見と手術所見を対比することができた僧帽弁上輪の3例

鈴木 靖美1, 富松 宏文2, 石井 徹子2, 杉山 央2, 朝貝 省史2, 高橋 辰徳2, 富田 陽一2, 朴 仁三2, 長嶋 光樹3 (1.東京女子医科大学医学部, 2.東京女子医科大学 循環器小児科, 3.東京女子医科大学 心臓血管外科)

キーワード:僧帽弁上輪、心エコー、僧帽弁狭窄症

【背景・目的】先天性僧帽弁狭窄のなかでも僧帽弁上輪(SMR)は非常に稀であり診断に苦慮することもあるが、狭窄部位の形態診断は手術術式を決定する上で重要である。今回SMRの3例を経験しそのエコー所見と手術所見を対比することができたので報告する。【症例】症例1: 11歳男児、エコー所見:僧帽弁腹に全周性の膜状組織を認めた。右室収縮期圧51mmHg、左室流入血流速度2.6m/sであった。手術は左房側から見た僧帽弁口はfish mouth型で、膜状組織が中央を除いて弁尖上に全周性に覆いかぶさっていた。両側交連切開と膜状組織の切除を施行した。症例2: 2歳男児、ファロー四徴症、部分肺静脈還流異常を合併。エコー所見:僧帽弁輪部から左房腔に向かう隔壁を認めた。手術は僧帽弁輪から伸びる隔壁を切除した。隔壁には2か所の交通孔を認めた。症例3: 3歳女児、エコー所見:僧帽弁腹に異常組織が癒着し、弁輪部付近の可動性は著しく制限されていた。右室収縮期圧は48mmHg、左室流入速度2.7m/s であった。手術は左房側から見た僧帽弁口はfish mouth型で弁腹の左房側に線維性組織が癒着し開放制限を呈していた。異常組織を剥離した。【考察】SMRをintramitral ring(IR)とsupramitral ring(SR)に分ける病型分類がある。症例1はIRで他に有意な心奇形を伴っていなかった。症例2は異常隔壁が僧帽弁腹に癒着していないSRであった。症例3は主としてIRであるものの一部弁に癒着していない部分もありSRとの混合型と考えた。エコーではSRは僧帽弁から独立し、左房内に隔壁を認めるためその診断は比較的容易である。しかし、IRは腱索短縮型の僧帽弁狭窄との鑑別を要し、可動部位や開放様式を詳細に観察することに加え、経食道心エコーがその鑑別に有用であった。全例手術所見はエコー所見と合致していた。【結論】SMRの3例を経験し、心エコー所見は手術所見と合致していた。