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[P22-06] 心室細動を生じたWPW症候群の男子例
キーワード:WPW症候群、心室細動、心房頻拍
【はじめに】WPW (Wolff-Parkinson-White) 症候群の有病率は人口の0.06%-0.4%と言われており、小児の分野では心電図検診でたびたび遭遇する疾患である。10-30%に発作性上室性頻拍(房室回帰性頻拍)を生じるが、比較的予後良好な疾患群と考えられている。しかし一方で0-0.0025人/年で突然死を起こすとも言われいる。今回我々は発作性上室性頻拍から心室細動に移行した症例を経験したので報告する。【症例】14歳男子。7歳時の学校心電図検診にてWPW症候群を指摘され、外来管理をされていた。7年間頻拍発作は認めなかったが、14歳時卓球の部活動中に脈拍数214回/分のwide QRS tachycardiaを認めた。この頻拍は嘔吐にて停止した。その後大縄飛びをしていた最中に再度動悸が出現した。動悸は3時間ほど継続したため救急外来を受診した。受診時脈拍数200回/分のwide QRS tachycardiaを認めていた。血圧 83/45mmHgと低血圧も認めていた。ATP、ベラパミル、プロプラノロールの経静脈投与を試みるも頻脈は停止せず、その後顔色不良となり、心室細動に移行した。除細動にて洞調律に復帰した。心機能の回復を待ち数日後電気生理を施行した。右室下位側壁に順行性の有効不応期310msの副伝導路を認めた。また僧帽弁2次方向の弁下に逆行性室房伝導を認めた。心房刺激では数種類の心房頻拍(心拍数 130-193/分)が誘発された。アブレーションにて右室側の副伝導路のみを離断した。現在フレカイニドの経口投与にて外来経過観察を行っているが頻脈発作の再発は認めていない。【考察】本疾患の頻脈発作は心房頻拍が副伝導路を伝わっていたためATP、ベラパミル、プロプラノロールは無効であったと考えられる。これらの薬剤には心機能抑制の作用もあるため、WPW症候群にwide QRS tachycardiaを認めた場合、房室結節を経由していない上室性頻拍の可能性も考慮し、kent束を抑制する薬剤を早期に選択する必要があると考えられた。