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[P32-02] 一時体外ペーシングワイアー抜去後に緊急手術を要した心タンポナーデ症例の検討
キーワード:タンポナーデ、体外ペーシング、合併症
【背景】先天性心疾患周術期において一時体外ペーシングは術後不整脈の治療、診断に有効である。ペーシングワイアー(PW)に伴う合併症には、ワイアーの迷入、不整脈、抜去後の出血によるタンポナーデ等が報告されている。【目的】PW拔去後に手術を要したタンポナーデ症例を検討すること。【方法】2007年4月~2015年12月に当院で開心術を行った1468例よりPW抜去後にタンポナーデに対する緊急手術を要した例を後方視的に検討した。【結果】対象は5例。症例1:3歳 大動脈閉鎖不全に対し大動脈弁置換術を施行。術後より抗凝固療法を開始、術後6日目にPW抜去し7日目後にタンポナーデとなり手術を施行。生存。症例2:月齢9 Fallot四徴症に対し心内修復術を施行。術中房室ブロックとなりペーシングを術後14日まで要した。上大静脈血栓に対し抗凝固療法中、術後17日目PW抜去当日にタンポナーデとなり緊急手術を予定し、手術室入室直後に心停止となったが、後遺症なく回復した。症例3:月齢8 大動脈弁狭窄に対しRoss手術を施行。術後4日目にPW抜去し7日目にタンポナーデに対する緊急手術を施行。生存。症例4:1歳2か月 単心室に対しTCPCを施行。抗凝固療法中、術後7日目にPW抜去し8日目にタンポナーデに対する緊急手術を施行。生存。症例5:月齢4 大動脈弁上狭窄、肺動脈狭窄に対し形成術を施行。術中Vfとなりアミオダロンを使用した。術後9日目にPW抜去し10日目にタンポナーデに対する緊急手術を施行。生存。【結語】基礎疾患の重篤度、経過から5例のPW留置の適応に問題はなかったと考えられる。5例中3例は抗凝固療法中であり、これが出血に関与した可能性は否定できないが、2例はおこなっておらず、抗凝固療法の有無でタンポナーデの発生を予測することは難しい。抜去後には血圧、心エコーなどによる定時的なモニタリングの必要性が示唆された。