13:50 〜 14:40
[P33-06] 小児Duchenne muscular dystrophyの心筋症に関する検討
キーワード:Duchenne muscular dystrophy、拡張型心筋症、心不全
【はじめに】Duchenne muscular dystrophy(以下DMD)では近年、非侵襲的陽圧換気療法の導入に伴い呼吸症状の緩和が得られ、心筋症が生活能力や予後に影響する因子となっている。【方法】当院のDMD患者19名、中央値14才(5~21才) を対象に2004~2015年の心機能評価及び心不全治療について後方視的に検討を行った。検討項目は左室収縮率(LVEF)、心臓MRI(以下CMR)ガドリニウム遅延造影(以下LGE)、24時間総心拍数、BNP, 心不全治療とした。【結果】初回の心機能評価年齢は中央値9才9ヶ月 (2~16才)、観察期間は中央値3年5ヶ月 (9ヶ月~11年9ヶ月), 初回評価時LVEFは中央値63% (37~73%), 最終評価時中央値44% (8~71%)であった。CMR施行者11例のうち8例がLGE陽性で最年少は12才であった。観察期間内に4例(21%)でBNP上昇を認め、25.8~1015.8pg/mlであった。内服治療は14例(74%)に行われ、開始年齢は中央値13才2ヶ月(9~17才)、治療薬はβblocker12例、ACEI11例、ARB1例、Digoxin2例であった。開始理由は予防的、LVEF低下、24時間総心拍数高値(中央値148428/日)、LGE陽性であった。副作用は1例に軽度のふらつきがみられた。治療開始後EFが維持されている例は2例、12例にEF低下を認めた。予後は生存18例、死亡1例であった。死亡例は11才時に内服治療を開始したが急速に心機能低下が進行し13才時に心不全死亡、12才時のCMRでは貫壁性のLGEが認められた。【結語】DMDの心筋症評価に心エコー、CMR, ホルター心電図が用いられ、心筋病変部位の検出にLGEが有用であった。これらは病早期からの治療の指標になると考えられた。心不全治療ではβblocker, ACEIを少量から漸増し、血圧低下や腎不全等を伴うことなく用いることができた。しかし今回、治療開始後に収縮率の維持が確認されたのは2例のみであり、心機能低下に対する効果を示すことはできなかった。今後さらなる治療法の確立が望まれると考えられた。