第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

心不全・心移植1

ポスターセッション(P37)
心不全・心移植1

2016年7月7日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
城戸 佐知子(兵庫県立こども病院 循環器内科)

P37-01~P37-05

18:00 〜 19:00

[P37-02] Fontan術後患者の拡張能低下の原因と肺循環への影響

浜道 裕二, 加藤 昭生, 松井 拓也, 正谷 憲宏, 齋藤 美香, 石井 卓, 稲毛 章郎, 中本 祐樹, 上田 知実, 矢崎 諭, 嘉川 忠博 (榊原記念病院 循環器小児科)

キーワード:Fontan、拡張能低下、肺循環

【背景】Fontan患者の拡張能低下の原因は確定していない。また、Fontan術後患者では、拡張能低下により肺循環が妨げられることが予想される。【目的】Fontan患者における拡張能低下の原因及び肺循環への影響について検討した。【方法】対象はFontanに到達し、2010~2015年に血行動態を把握するために心臓カテーテル検査を施行した177例。カテ年齢は1.7~42.9歳(中央値7.1歳)。心室の拡張末期圧(EDP)が13mmHg以上を拡張能低下(n=16)と定義し、拡張能低下に関与する因子及び肺循環への影響を求めた。【結果】拡張能低下群と非低下群では、以下の項目について有意差はなかった:心室のtype、Glenn前の1st strategy、ペースメーカー植え込み、房室弁修復術、カテーテル治療、主心室駆出率、カテーテル時年齢。多変量解析で拡張能低下に関与したのは、心室拡張末期容積(≧132ml/m2、オッズ比9.8倍)、心室収縮末期圧(≧108mmHg、8.5倍)、肺動脈Index(≧325mm2/m2、8.2倍)、大動脈収縮期圧(≧93mmHg、6.1倍)の4因子。単解析では更にFontan年齢(≧8.8歳)が関与した。これら5因子の拡張能低下への説明係数は42%であった。拡張能低下群では、肺動脈楔入圧(13.0 vs. 6.6mmHg、p<0.0001)、中心静脈圧(16.9 vs. 11.9mmHg、p<0.0001)は上昇し、肺動脈駆動圧(3.7 vs. 5.1mmHg、p=0.041)、大動脈酸素飽和度(87% vs. 92%、p<0.0001)は低下していた。拡張能低下群でNT-proBNP値は有意に高値(1759 vs. 255pg/ml)であったが、心拍出量の低下は認めなかった。【結語】Fontan術後の拡張能低下に、Glenn術前の高肺血流、現時点での体血圧の上昇の関与が疑われた。原因に応じた対策を考える必要がある。また心拍出量の低下を来してはいなかったが、肺動脈駆動圧の低下、酸素飽和度の低下が生じており、これらが更に心機能低下を惹起する可能性がある。