18:00 〜 19:00
[P37-03] フォンタン術後遠隔期症例に対する簡便な在宅和温療法の慢性効果検証―血行動態と自律神経活動の改善
キーワード:フォンタン、和温、在宅
【背景】フォンタン手術は単心室に対する予後を改善してきた。しかしその循環が長期に及ぶと、全身諸臓器の機能障害が進行し、生活の質や予後を規定する。その予防・治療法構築は喫緊の課題である。成人心不全の標準的治療である低温サウナを用いた和温療法は、上記心不全進展に関わる各異常経路を抑制し、心不全改善につながり得るが、頻回の通院を要し、小児では現実的でない。我々は、持ち運びが容易で在宅で施行できる遠赤外線ドーム型サウナによるポジティブな急性効果と安全性を報告した。今回、フォンタン術後患者の在宅和温療法の慢性効果を検証する。
【方法】説明と同意を得て、希望者に和温療法を施行した(N=9、中央値11.3歳)。各人初回は、外来での急性効果と安全性の確認後、在宅で週2-3回の和温療法を施行した。施行前と半年後で、在宅和温療法が血行動態・自律神経に及ぼす影響を検討した。
【結果】全員で安全に施行でき、血液検査上も有害事象を認めなかった。心拍数は減少傾向、一回拍出量は増加傾向で、心拍出量は有意な傾向を示さなかった。収縮期血圧・肺動脈圧と相関する末梢静脈圧は減少傾向を認め、肺血管抵抗が有意に減少した(3.3 vs 2.7 Wood・m2, P<0.05)。下行大動脈の反射分画が有意に減少し、心室弛緩と関連する組織ドプラe’が有意に上昇した(7.1 vs 8.8 cm/s, P<0.05)。これらの良好な血行動態の変化は、自律神経調節の改善を伴い、心拍変動(RR-SD)や副交感神経活動を表すHFが増加傾向を示した。1名で房室弁逆流の有意な減少がみられた。
【結論】半年間の在宅和温療法により、反射の少ない体循環・抵抗の減少した肺循環へ、即ちスムーズな血行動態へ移行し、心室弛緩も改善した。これらは予後との関連が強いとされる心拍変動・副交感神経活動の改善を伴い、和温療法の長期施行により、さらなる有効性が期待される。今後比較対象群との多数例での長期比較検討に値すると考える。
【方法】説明と同意を得て、希望者に和温療法を施行した(N=9、中央値11.3歳)。各人初回は、外来での急性効果と安全性の確認後、在宅で週2-3回の和温療法を施行した。施行前と半年後で、在宅和温療法が血行動態・自律神経に及ぼす影響を検討した。
【結果】全員で安全に施行でき、血液検査上も有害事象を認めなかった。心拍数は減少傾向、一回拍出量は増加傾向で、心拍出量は有意な傾向を示さなかった。収縮期血圧・肺動脈圧と相関する末梢静脈圧は減少傾向を認め、肺血管抵抗が有意に減少した(3.3 vs 2.7 Wood・m2, P<0.05)。下行大動脈の反射分画が有意に減少し、心室弛緩と関連する組織ドプラe’が有意に上昇した(7.1 vs 8.8 cm/s, P<0.05)。これらの良好な血行動態の変化は、自律神経調節の改善を伴い、心拍変動(RR-SD)や副交感神経活動を表すHFが増加傾向を示した。1名で房室弁逆流の有意な減少がみられた。
【結論】半年間の在宅和温療法により、反射の少ない体循環・抵抗の減少した肺循環へ、即ちスムーズな血行動態へ移行し、心室弛緩も改善した。これらは予後との関連が強いとされる心拍変動・副交感神経活動の改善を伴い、和温療法の長期施行により、さらなる有効性が期待される。今後比較対象群との多数例での長期比較検討に値すると考える。