第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

心不全・心移植4

ポスターセッション(P40)
心不全・心移植4

2016年7月6日(水) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
小林 俊樹(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)

P40-01~P40-04

18:00 〜 19:00

[P40-02] 当院における心肺同時移植適応患者の臨床像

高橋 邦彦1, 小垣 滋豊1, 成田 淳1, 石田 秀和1, 三原 聖子1, 鳥越 史子1, 髭野 亮太1, 廣瀬 将樹1, 大薗 恵一1, 上野 高義2, 澤 芳樹2 (1.大阪大学大学院医学系研究科 小児科, 2.大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科)

キーワード:心移植、肺移植、心肺同時移植

【背景】1997年臓器移植法が施行後間もなく、2003年に心肺同時移植の患者登録が始まった。日本移植ネットワークによると、心肺同時移植の登録申請患者数は年平均0.9人と報告されているが、国内における心肺同時移植対象患者の臨床像は明らかではない。【目的と方法】当施設で心肺同時移植適応と判断した11症例(男4:女7)の臨床像を明らかにするため、診療録を後方視的に検討した。【結果】原心疾患は拘束型心筋症5例、両大血管右室起始症2例、心室中隔欠損・単心室・先天性肺静脈狭窄・特発性肺動脈性肺高血圧症が各々1例ずつであり、全症例小児循環器医が何らかの形で関与していた。移植申請時の年齢は10カ月~49歳(中央値:19歳)。単心室症例(Glenn術後)は肺静脈閉塞と高い肺血管抵抗から心肺移植登録となったが、3年後に再検討を行い移植はHigh riskと判断され保留。以外の10症例での登録申請時の心臓カテーテル検査では、mPAP 43-93mmHg, Rp9.5-35.6単位/m2と不可逆性の肺高血圧症を呈していた。心肺同時移植となった理由は、心筋症以外の症例では、外科的修復困難が3例、高度の心室機能不全が2例であった。転帰に関して、2例が登録まで至らず死亡。2例が登録後1.8年・10.7年で死亡(感染、突然死)され、4例が現在も待機中(0~4.5年)である。心肺移植術が施行されたのは2例で、5.5年・10.3年の待機期間を経て、現在も大きな合併症なく7.0年・2.2年が経過している。【考察】国内ではドナー不足の問題もあり、できる限り少ない臓器の移植を選択する必要はあるが、2臓器同時の移植を必要とする症例が存在するのも事実である。長期の待機期間を要するため、対象患者への説明と経過のフォローに関しては十分な配慮が必要であり、小児循環器医はその対応が求められる。