第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

心不全・心移植4

ポスターセッション(P40)
心不全・心移植4

2016年7月6日(水) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
小林 俊樹(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)

P40-01~P40-04

18:00 〜 19:00

[P40-04] 心臓移植に到達した重症心不全の2例の転院搬送を経験して:非心臓移植認定施設の役割と補助循環の導入

野中 利通1, 大沢 拓也1, 大塚 良平1, 小坂井 基史1, 野田 怜1, 櫻井 寛久1, 櫻井 一1, 大森 大輔2, 福見 大地2, 西川 浩2, 大橋 直樹2 (1.中京こどもハートセンター 心臓血管外科, 2.中京こどもハートセンター 小児循環器科)

キーワード:重症心不全、補助人工心臓、心臓移植

はじめに2010年7月に改正臓器移植法が施行され国内での小児心臓移植が可能となった.2015年8月にはBerlin Heart EXCORが保険適応となり小児重症心不全治療は新しい局面に入った.しかしこれらの治療は国内では数施設で実施されるのみで,一般的な医療とは言いがたい.当院で初期治療を行い,進行性の心不全に対し移植認定施設に転院搬送した2例を経験したので報告する.症例1例目は1歳男児.日齢17に心雑音を指摘され心エコーで左室緻密化障害を伴う心筋症と診断.6か月経過ころより失神を複数認めるようになった.ミルリノン点滴治療下でも失神出現し,心カテで左右等圧までPH進行.移植認定施設にコンサルトし,移植登録.移植認定施設の往診をへて転院搬送となった.搬送後はEXCORを装着,VAD装着45日目に国内での心臓移植に到達した.2例目は12歳男児.進行性の倦怠感を認め,急性心筋炎の診断にて当院紹介.入院時の心エコーでLVEF25%であった.SGカテ検査でSvO2 30%,心係数1.3であったため右大腿動静脈からECMO装着.翌日のエコーで心機能悪化傾向で移植認定施設にコンサルト.同病院から往診で転院搬送決定.転院後ただちにLVAD(central ECMO)装着.3か月後にHVAD装着.その7か月後に渡航心臓移植に到達した.考察非移植認定施設における重症心不全治療は内科的治療およびECMOによる補助循環が主となる.内科的管理においてはINTERMACS profile2,3のstatusで速やかに認定施設にコンサルトし適切なコントロールをすることが有用である.また搬送中の急変を回避する意味でECMOは有用であるが,安全管理には最新の注意が必要であることと,peripheral ECMOは後負荷を増加させるため心機能の回復には有利ではなくVAD治療へのスイッチが必要である.今後補助人工心臓実施施設の広がりが予想されるが,あくまでも移植までのBridge治療であり,心臓移植が広く受けられる社会のしくみの構築が急務である.