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[P41-05] アルブミン低下を伴わないフォンタン術後の難治性腹水
キーワード:腹水、フォンタン手術、肺静脈狭窄
【背景】フォンタン術後の合併症として鋳型気管支炎(PB)や蛋白漏出性胃腸症(PLE)が知られるが、アルブミン低下を伴わず難治性腹水を経験したので臨床的特徴を検討する。【対象】2012年1月から2015年12月にフォンタン手術(TCPC)を行った症例について診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】期間中にTCPCを行ったのは35例で無脾症候群が10例、左心低形成症候群が7例であった。一過性のPLEが1例で三心房心を伴う左心低形成症候群、一過性のPBが1例で無脾症候群、アルブミンの低下を伴わない難治性の腹水は2例で無脾症候群であった。TCPC前後を含めると全例で肺静脈(PV)狭窄解除術を行っている。いずれも開窓つきの心外道管で、PLEでは1本のPV狭窄、腹水例では1本または片側のPVが閉塞している。一過性のPB以外の3例ではTCPC後に開窓部のバルーン拡大術を行っており、腹水例では外科的な開窓拡大も行っているが、症状持続している。PLE例は洞不全症候群のペーシング設定調整で改善した。最終のカテーテル検査で下大静脈圧はPB例14、PLE例16、腹水例15、16mmHgであった。PB例はPV狭窄を認めないものの体肺動脈側副血管は多かった。腹水例は体肺動脈側副血管のコイル塞栓も行っているが肺静脈閉塞領域の側副血管は多数認められる。現在のアルブミン値はPLE例4.7で、PB例が3.9、腹水例は4.2および4.5g/dlであった。【考察】右室が体心室であることや、典型的な3段階以外の心血管系への介入が必要な例でPLEを生じやすいとされるが、PV閉塞は血行動態悪化の主因である。【結語】のPV閉塞を伴う無脾症候群例はフォンタン術後に低アルブミン血症を伴わない難治性の腹水を生じる場合があり、慎重に適応を判断する必要がある。