第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達4

ポスターセッション(P44)
術後遠隔期・合併症・発達4

2016年7月7日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
木村 純人(北里大学医学部 小児科)

P44-01~P44-06

18:00 〜 19:00

[P44-06] フォンタン術後遠隔期患者におけるプレセプシン値の検討

田中 裕治 (鹿児島医療センター 小児科)

キーワード:プレセプシン、フォンタン、バイオマーカー

【背景】近年、可溶性CD14サブタイプ(プレセプシン)が新たな敗血症マーカーとして有用であることが報告されている。しかし当科でプレセプシン高値のため心内膜炎を疑われたが血液培養陰性で、抗菌剤治療終了後も高値が持続している症例を2例経験した。【目的】当科でフォロー中のTCPC術後患者のプレセプシン値と、プレセプシンに相関する検査項目がないかを調べる事【対象】平成27年にワーファリン定期採血を受診し、発熱などの感染症状がなかったTCPC術後患者34名(平均年齢 15.8±5.8歳, 男性25名, 女性9名, うち無脾症 5名)【結果】プレセプシン値は平均 356.7±170.7 pg/ml (正常 314 pg/ml未満) と高く、最大値は776 pg/mlと敗血症を疑うような数値を示した患者も存在した。検査後に敗血症や心内膜炎など感染症を発症した患者はいなかった。無脾症患者の平均は 313.4 pg/mlと高くなかった。単回帰分析では血小板数とわずかな相関を認めたが、白血球数、CRP、ALT、BUN、4型コラーゲン7S、ヒアルロン酸などとは相関を認めなかった。【考察】プレセプシンは顆粒球などが細菌を貪食した際に放出される蛋白で細菌感染症に特異的とされ、サイトカインにより誘導される炎症マーカーのCRPやプロカルシトニンとは異なり、ウイルス感染や手術侵襲では上昇しないとされている。ただし透析患者や血管炎患者では原因不明ながら高い事が報告されており、TCPC術後患者でも高い理由は不明であるが、フォンタン循環での血管炎の存在や顆粒球機能亢進が推測された。TCPC患者でのみ高いとしたら肝うっ血の指標になるかもしれないと考えたが、肝線維化マーカーとは相関がなかった。【結論】敗血症における血液培養の陽性率は20%前後であり判断に悩むが、TCPC患者でのプレセプシン高値は偽陽性の可能性がある。