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[P51-01] Fallot四徴症術後遠隔期における肝線維化マーカーの上昇
キーワード:Fallot四徴症、肝線維化、成人先天性心疾患
【背景】Fontan手術後遠隔期の肝線維化・肝硬変に関しては、すでに知られている。Fallot四徴症(TOF)術後もPS, PR, TRがしばしば残存し,Fontan手術同様に右心系負荷,中心静脈圧上昇がみられる.肝静脈の血流パターンも、右室圧が上昇した例では通常と異なることが報告されているが、TOF術後の肝線維化について検討した報告はない。【目的】TOF術後遠隔期の肝線維化の有無・重症度を明らかにすること。【対象と方法】TOF術後遠隔期にPVRを検討された 49例(27.9±11.2歳), Fontan手術後 98例(23.5±5.3歳), Control 12例(AVR術後等、右心系に遺残病変がない症例, 26.6±3.2歳)を対象に,肝線維化マーカー・その他の肝機能データと,心カテ・心エコー・MRIによる血行動態のデータを比較検討した。また、線維化マーカー高値の症例に、腹部エコー検査を施行し、肝硬変の1例に肝生検を施行した。【結果】TOF群 / Fontan群 / Control群でそれぞれ、IV型コラーゲン 155.9±64.5 / 173.8±58.3 / 107.5±27.9 (基準値 <140 ng/ml)、ヒアルロン酸 30.7±30.9 / 43.6±32.8 / 16.1±5.6(基準値<50) ng/ml 、γ-GTP 51.1±111 / 79.2±93.1 / 21±11 IU/Lと、3検査値ともに、TOF群ではControl群に比べて有意に高値であった。また、IV型コラーゲン,γ-GTPに関しては、TOF群の平均値は、正常基準値以上であった。また、TOF群においてこの3つのマーカーと他の臨床パラメータの相関を検討したところ、IV型コラーゲンと右房圧, BNPに、またγ-GTPと右房圧、RVEDPに有意な相関がみられた。11例に腹部エコーを施行し、全例でうっ血肝、1例に肝硬変の所見を認めた。エコーで肝硬変の所見がみられた1例に施行した肝生検では、中心静脈の閉塞, 不規則な線維化を認め、うっ血性肝硬変の所見であった。【結語】TOF術後遠隔期にも、比較的高い確率で肝線維化マーカーの上昇がみられる。中には肝硬変をきたす症例もいるため、注意が必要である。