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[P51-02] ファロー四徴症遠隔期における右室拘束型循環の特性-心臓カテーテル検査での検討-
キーワード:ファロー四徴症、restrictive physiology、成人先天性心疾患
背景:右室拘束型循環(RV restrictive physiology:RV-RP)はファロー四徴症(TOF)術直後または遠隔期にみられ、遠隔期ではこの病態は肺動脈弁逆流が少なく、CTRが小さく、狭いQRS幅を呈し、不整脈が少ないなど術後経過によい影響を与えると報告されたが、異論も多く未だ一定の見解がない。また従来の検討はMRIか心エコーを用いたもので血圧の詳細がわかる心臓カテーテル検査での検討はない。目的:RV-RPのTOF術後遠隔期での特性を明らかにすること。方法:5歳以上で心エコー、心臓カテーテル検査を施行したTOF術後症例を対象とした。ASD, PAPVRなどの残存心奇形、右室-肺動脈圧差が40mmHg以上のものは除外した。カテ前の心エコーで呼吸に関係なく肺動脈で拡張後期の順行血流(EDFF)を認めたものをRP(RP群)とし、心室容積を含む心機能、BNP, NT-proBNP、HANP値、胸部Xp上のCTR、ECGのQRS幅をNonRP群と比較した。結果:当院で心エコーを施行したファロー四徴症術後症例126人中、対象となったのは49名、評価年齢は中央値13.7歳(5~53.8歳)であった。RV-RPは17例(35%)に認めた。RP群では右房a波圧(RAp)、RApと肺動脈拡張期圧(PApD)の差(PG=RAp-PApD)が高かった(RAp:3.7mmHg vs 0.3mmHg,PG:10.5mmHg vs 9.8mmHg,p<0.05)が、PApD、両心室容積、両心室駆出率、BNP, NT-proBNP,HANP値、CTR、QRS幅にも差はなかった。RP群のRVEDVIを肺動脈弁置換の基準として指摘されている170ml/m2以上、未満でLarge RV(L-RV)とSmall RV(S-RV)で分類し検討するとS-RV(n=13)ではLarge RV(n=4)に比較してRVEF(53% vs 39%)、LVEF(65% vs.54%)がよく、LVEDVI(85ml/m2 vs.128ml/m2),CTR(53% vs 62%)が小さかった(p<0.05)。結語:RV-RPの指標とされる心エコーでのEDFFは右房圧-肺動脈拡張期圧のバランスによって生じる。RV-RPのタイプには2つあり、術後経過に良い影響があるRV-RPは右室の小さいものに限られることが示唆された。