18:00 〜 19:00
[P52-01] 成人移行外来の問題点
キーワード:成人先天性心疾患、移行期支援、患者教育
【背景】周術期管理、先天性心疾患の生存曲線は健常人に近づいており、先天性心疾患患者の成人先天性心疾患患者増加に伴い小児専門施設としては成人施設への移行が必要になる時期が必ず訪れる。治療を継続している、あるいは、成人期に合併症の懸念が残る患者が成人し自立していくために移行期支援は小児専門病院ならずとも必要であるが整った体制をもつ施設は多くない。当院では、患者自身による疾患の理解と自らを主体的に管理してもらうた目的で、2012年から看護師による質問紙を用いた面談と医師による患者教育の診療を主とする成人移行外来を包括外来として開設したが問題点もあきらかになってきた。【目的】成人移行外来の現時点でのまとめと問題点を明かにする。【結果】患者は106名。女性が58名。1名を除き単回受診だった。受診年齢は11歳~27歳(中央値17歳)。受診のタイミングは外来主治医の判断がほとんどだが、患者、親からの希望で受診をされている例もみられた。TOF(PAVSD含む)術後が32名、Fontan術後が22名、AVSD術後が10名、COA術後が7名、TGAJatene術後が7名だった。内服治療を行っているものは41名だった。多くは、高校卒業前に疾患理解のために受診していたが、年齢と受診前の疾患理解は比例しなかった。また、身体的問題ではなく、社会生活における問題や心理的問題を抱える例もあった。【考察とまとめ】身体的状態だけでなく、社会的に自立できる能力がある症例と、成人しても社会的支援が必要な症例に患者群はまたがっていた。疾患理解教育のみで移行が可能となる症例ばかりではなく、成人期に移行しても社会的支援が継続できる援助、支援者に対する再教育などが必要とされる症例は増加していた。患者教育だけではなく、システムとしてMSWによる社会支援の情報提供や助産師などによる保健指導、カウンセリングなどの心理サポートを組み込んでいく必要があると考える。