18:00 〜 19:00
[P52-03] 地方における地域連携型成人期移行医療モデル構築の提案と現状
キーワード:成人期先天性心疾患、移行医療制度、経皮的心房中隔欠損閉鎖術
【背景】地方の独立型小児病院における単独での成人期先天性心疾患(ACHD)の移行医療制度構築は難しい。2013年より近隣の大学病院と連携協定を結び小児病院と大学病院間でACHD患者共同診療体制を構築し移行医療を開始した。【目的】地域連携型ACHD移行医療の現状と問題点について検討すること。【対象と方法】当院の18才以上のACHD外来患者1356人中、当院でフォロー中の成人移行外来受診者360名と大学病院ACHDセンターとの連携移行医療制度対象となった57名。カルテより後方視的にACHD診療の状況について調査した。【結果】360名中高校卒業時に県外医療施設に紹介となったのは47名、県内医療施設への紹介は44名。連携移行医療制度対象者57名中、大学病院から経皮的心房中隔欠損閉鎖術(ASO)などのACHDカテーテル治療目的で当院へ紹介治療されたのは12名(20ー74才)内ASO症例8例、逆に当院から大学病院へ治療目的で紹介されたのは10名(18ー39才) カテーテル不整脈治療(4)、婦人科疾患(4)、消化管潰瘍(1)、呼吸器疾患(1)であった。 74才の高齢者のASO例では、直前まで大学病院で心不全治療と心房細動管理を実施し、治療前後3日間のみ当院に転院して治療後翌日大学へ転院して後治療を実施し問題なく自宅に退院した。【考察と結語】大学病院と小児病院の連携移行医療は、連携協定により患者治療の円滑な受け入れが可能となり、効率的に双方の医療資源を運用できるようになった。また大学病院を中心とした既存の病院間ネットワークを使ってACHD患者の地域ぐるみの管理も可能となり、この連携協定によるACHD移行医療は地方における地域連携型成人期移行医療モデルとして有効なシステムとである。