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[P52-05] 「何かあったらどうする」成人先天性心疾患女性の妊娠分娩に関する産科側の不安を払拭するために必要な事
キーワード:成人先天性心疾患、妊娠分娩、産科との連携
【目的】成人先天性心疾患(ACHD)女性の妊娠・分娩では産科医師・助産師が中心的役割を担う。心疾患の無い妊婦の妊娠・分娩でもリスクを伴い管理には細心の注意が払われる。妊婦がACHD女性では「さらにリスクが高くなる、何かあったらどうする」と管理を引受けてもらえないことも多い。この産科側の不安を払拭するために必要な事を自験例から検討し報告する。【方法】(1)心室中隔欠損(VSD)、(2)VSD+左肺動脈閉鎖(L-PA atresia)、(3)大動脈宿窄(Co/Ao)バルーン血管形成術後、(4)L-PA atresia、(5)リウマチ性大動脈弁閉鎖不全、(6)心内膜症欠損、(7)ファロー四徴術後、の7例9妊娠を対象に検討した。【成績】(1)は妊娠~分娩まで全く循環器診療を受けなかった。(7)は居住地の産科クリニックに管理を依頼したが全く理解されず「手術を受けた病院へ紹介した」と返信された。(5)は産科クリニックから大学病院に紹介されたが「何かあったらどうする」と差し戻され結局紹介元で分娩した。(1)(7)以外の5例は妊娠初期、18週、35週前後、分娩後1ヶ月に診察・検査を実施、結果を逐一産科側に報告した。妊娠時の投薬は(5)のペニシリン予防投与のみで妊娠経過前~中、心不全、不整脈等criticalな合併症は無く全例NYHA分類1度で経過、満期まで妊娠維持できた。分娩は1例で分娩停止による帝王切開であった他は全て経膣分娩であった。(5)は分娩に立ち会った。全例産後経過良好で、児も問題無かった。【考案】(1)妊娠前NYHA分類1度 (2)重症不整脈合併が無い(3)妊娠前から循環器系治療薬投与無しという条件なら健常者と同等に妊娠・分娩可能だが、産科側の不安を払拭するには緊密な連携を行い、場合により分娩に立ち会うことも必要と思われた。【結論】循環器側が可能と判断しても緊密に連絡を取り「チーム」で管理している意識を産科側に持っていただくことがACHD女性の妊娠・分娩に関する産科側の不安を払拭する方法である。