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[P54-03] 多量の清涼飲料水摂取は、ビタミンB1欠乏性肺高血圧症をきたしうる
Keywords:肺高血圧、ビタミンB1欠乏、清涼飲料水
【背景】ビタミンB1欠乏は、神経症状や循環器症状など多彩な症状を来す。今回我々は、過度の清涼飲料水摂取や偏食によるビタミンB1欠乏から高度の肺高血圧、右心不全を来した2例を経験したので報告する。【症例】症例1 2歳の女児。1歳の頃から体重増加不良を指摘されていた。当院受診3週間前より下痢が出現し、清涼飲料水を連日飲んでいた。その後嘔吐と全身の浮腫が出現したため前医受診し、心エコーで肺高血圧の所見を認め当院紹介となった。入院後は肺高血圧の治療としてNO吸入、epoprostenol、Milrinoneを開始したが効果は得られず、ビタミンB1不足による肺高血圧も考慮し補充を開始したところ徐々に肺高血圧は改善し、後日来院時の血中ビタミンB1の低下を確認出来た。 症例2 2歳の男児。軽度の発達遅滞を認めるが、その他の既往はない。1歳の頃より1日1~2Lの清涼飲料水を連日摂取し、極度の偏食もあった。今回は全身の浮腫を主訴に前医受診し、精査目的で当院紹介となり心エコーで高度の肺高血圧の所見を認め入院管理となった。経過からビタミンB1欠乏による肺高血圧を疑い、ビタミンB1の投与のみを行ったところ、投与翌日より肺高血圧は著明に改善し、来院時の血液検査でビタミンB1の低下を後日確認出来た。【考察】ビタミンB1欠乏による肺高血圧は、肺血管拡張薬などの治療反応に乏しく、ビタミンB1の補充をしない限り改善しない。原因不明の肺高血圧の鑑別にはビタミンB1欠乏も念頭に置き、詳細な病歴聴取を心がけることが重要と思われた。