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[P55-03] 心臓カテーテル検査に基づいた特発性肺動脈性肺高血圧症の治療戦略-当院の経験から-
Keywords:肺動脈性肺高血圧症、カテーテル検査、持続静注
【背景】小児の特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)に対するカテーテル検査は診断・方針決定・治療効果判定に有用である一方で、被曝や侵襲の問題があり、その実施時期や頻度の設定には悩ましい一面もある。当院では、最適な治療戦略のためには時期を逃さず経時的にカテーテル検査を実施することが重要と考えている。【目的・方法】当院で最近カテーテル検査を行ったIPAH5例を挙げて、治療方針決定のプロセスを示す。【結果】症例1:11歳男児。9歳で気道感染症を契機にPAHを急性発症。PGI2持続静注を含むupfront combinationにより平均肺動脈圧(mPAP)は58→26mmHgまで低下。PGI2を増量せず、このまま多剤併用療法を継続することを決定。症例2:13歳男児。小4学校心臓健診により診断。治療開始後もmPAPは47(診断時)→73(最終)mmHgと上昇、PGI2持続静注を含む併用療法の効果が不十分と判断し、肺移植登録を決定。またPGI2増量に伴う血小板減少(10万/μl未満)によりエポプロステノールが41ng/kg/minから増量ができなくなったため、トレプロスチニル持続静注へ変更したところ、速やかに血小板数が回復し再増量に成功。症例3:12歳女児。早産RDS既往・喘息治療歴あり。ボセンタン単剤療法にてmPAPは48(診断時)→30(最終)mmHgまで低下し、現状治療の継続を決定。喘息や気道の炎症が病態を修飾していた可能性あり。症例4:17歳男子。小1学校心臓検診で診断。内服薬3剤併用療法行うもmPAPは91(診断時)→51(最終)mmHgと低下が不十分であり、加えてPGI2持続静注の導入を決定。症例5:11歳男児。PGI2持続静注を含む多剤併用療法により肺動脈圧の低下を得られたが、PGI2増量に伴う右房圧、心拍出量等の推移を見てPGI2の至適増量速度を調整。【結語】長期予後の改善のため、当院ではまずmPAP35mmHg以下を目標に治療・管理を行っている。そのため各症例の経時的なカテーテル検査に基づく血行動態評価により、治療の最適化を目指している。