第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

川崎病・冠動脈・血管1

ポスターセッション(P61)
川崎病・冠動脈・血管1

2016年7月6日(水) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
橋本 郁夫(富山市民病院 小児科)

P61-01~P61-05

18:00 〜 19:00

[P61-01] 川崎病罹患後の巨大冠動脈瘤4例の臨床経過

山本 哲也1, 面家 健太郎1, 寺澤 厚志1, 後藤 浩子1, 桑原 直樹1, 奥木 聡志2, 中山 祐樹2, 岩田 祐輔2, 江石 清行3, 竹内 敬昌2, 桑原 尚志1 (1.岐阜県総合医療センター 小児循環器内科, 2.岐阜県総合医療センター 小児心臓外科, 3.長崎大学病院 心臓血管外科)

キーワード:川崎病罹患、巨大冠動脈瘤、心筋梗塞

【背景】川崎病(KD)に伴う心障害のうち、冠動脈拡張は6.30%・冠動脈瘤は1.05%・巨大冠動脈瘤は0.19%・心筋梗塞は0.01%の発症率と報告されている。当科へは心障害を来たした症例のみが急性期治療後に紹介となっている。【目的】当科で過去8年間に新規診断となったKD後巨大冠動脈瘤4例の、急性期治療経過及び遠隔期経過から臨床像を明らかにする事。【方法】当センター小児循環器内科で2008年から2015年の8年間に新規紹介となったKD後心障害患児の中で巨大冠動脈瘤を来たした4例について、診療録から後方視的に急性期治療・検査値・遠隔期経過を評価した。【結果】KD発症年齢は生後2か月-1歳4か月、男児4例、初診日は第1-2病日、KD主要症状は4-5項目、RAISE studyの重症度スコアは4-7点(5点以上が3例)、免疫グロブリン(IVIG)の初回投与日は第4-7病日、IVIG回数は2-5回、追加治療としてはステロイド 4例・ステロイドパルス 3例・ウリナスタチン 2例・シクロスポリン 1例・血漿交換 1例、ステロイドの初回投与日は第8-14病日、初回解熱日は8-14病日、最終解熱日は第8-30病日、冠動脈瘤病変の指摘は第10-47病日、当科初診は第17-54病日、巨大冠動脈瘤の指摘は第23-67病日だった。現在KD後30-84か月経過、2例は狭窄から心筋梗塞を来してCABG施行となり、残り2例で巨大瘤は縮小したものの中等瘤や閉塞後再開通などの所見を残している。【考察】4例全てにおいて、‘男児’ ‘低年齢でのKD罹患’ ‘IVIG不応例’が共通していたが、他に共通する冠動脈瘤のハイリスク因子はなかった。3例がRAISE studyで重症に分類されるがIVIGと同時にステロイド投与された例はなかった。当センターへ紹介の時点で巨大冠動脈瘤と診断されていなかった例もあり、フォローアップされていない冠動脈病変合併例の存在も考えられた。【結論】巨大冠動脈瘤を来した例では正常冠動脈形態に改善する傾向は乏しく、心筋虚血イベントのリスクは高いと考える。