第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

川崎病・冠動脈・血管2

ポスターセッション(P62)
川崎病・冠動脈・血管2

2016年7月8日(金) 13:50 〜 14:40 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
土井 拓(天理よろづ相談所病院 先天性心疾患センター)

P62-01~P62-05

13:50 〜 14:40

[P62-03] 冠動静脈瘻(CAF)を伴った単一冠動脈の2例

平海 良美, 谷口 由記, 福田 旭伸, 祖父江 俊樹, 三木 康暢, 亀井 直哉, 小川 禎治, 富永 健太, 藤田 秀樹, 田中 敏克, 城戸 佐知子 (兵庫県立こども病院 循環器科)

キーワード:冠動静脈瘻、単冠動脈、虚血性心疾患

【目的】単冠動脈に合併したCAFの症例は非常に少ない。今回、我々は左単冠動脈が右心室に瘻孔を開口しCAFを形成していた2例を経験したので報告する。【症例1】1994年出生の男児。3歳4か月時、感冒にて近医受診時に心雑音指摘され小児循環器専門施設受診し左冠動脈の拡張とCAFを指摘された。4歳時に当院受診し、6歳時に心臓カテーテル検査(心カテ)を施行された。LADから右心室へ瘻孔開口し左単冠動脈冠動静脈瘻と診断された。心機能は正常であった。心筋シンチ、負荷心電図で異常認めず経過観察となった。9歳3ヶ月時、再度心カテ施行。LVEDV142%ofNormal,EF49%と心拡大と心機能低下を認めたため手術治療の方針となった。右心室壁に瘤を伴った冠動脈右室瘻があり、流入血管を結紮、瘤から右心室への流入孔は右室外壁より縫合結紮した。術後、運動制限していたがトレッドミル運動負荷検査、心筋シンチで異常ないことを確認し解除。【症例2】2014年出生の女児。4か月健診で心雑音を指摘されていたが、機能性雑音といわれていた。1歳2か月時近医受診時に再度心雑音指摘され、近医にて心エコー施行。CAFが疑われたため当院紹介受診。1歳11ヶ月時心カテ施行。LMTの起始部とLCX拡大し、CAFを形成しRVOTへ流入していた。RCAは確認できず左単冠動脈CAFと診断した。心電図異常はなかった。LVEDV118%of Normal,EF68%であった。後日施行したホルター心電図でtotalHB191328, meanHR137でhyperdynamic wall motionとなっている可能性もあり、早期の手術介入の方針となった。【考察】小児期CAFは、無症状のことが多く治療方針は一定でない。今回我々の症例は、単冠動脈のCAFで心カテで心拡大、心機能低下を示していたり、ホルター心電図より虚血の進行が懸念されたたため手術介入の方針となった。治療方針の決定は迷うところであるが、種々の検査を組み合わせて虚血変化の疑いや心不全徴候があれば手術を検討すべきと考えられる。