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[P64-01] γ-グロブリン大量療法を施行しなかった川崎病症例の検討
キーワード:川崎病、IVIG、NSAIDs
【目的】川崎病急性期治療にγ-グロブリン大量療法(IVIG)を要しなかった症例の特徴を明らかにし、今後の治療方法の選択について検討する。【対象・方法】2006年1月~2015年12月、当院で川崎病と診断した122症例(男児69例女児53例、年齢0.3~11.5歳:中央値2.4歳)を、非ステロイド性抗炎症性薬(NSAIDs)単独群(N群)11例とIVIG併用群(I群)111例に分け、後方視的に検討を行った。【結果】性比(男/女)はN群:I群で、3/8:66/45と有意にN群で女児が多かった。主要項目数・CRP・体温・在院日数については、(平均±SD)4.5±1.1:5.3±0.8項目,4.4±3.5:8.6±5.4 mg/dL、38.5±0.6:39.5±0.7 ℃、6.0±1.9:8.5±3.1日と、N群で有意に低かった。年齢・原田のスコア・NSAIDs 内服開始日では有意差を認めなかった。なお、I群のみ3例に急性期以後の冠動脈瘤形成を認めた。【考察】N群は全体の9%と、第23回川崎病全国調査でのIVIG未施行例7.4%との報告とほぼ合致していた。N群においては、不全例4例(36%)が含まれ、主要項目数・CRP・体温・在院日数が有意に低値だったことからも、より炎症反応が軽度であったと考えられる。両群での原田のスコアの有意差を認めず、NSAIDs開始時期に差はなかったことから、実際には、急性期病変の炎症反応の程度やNSAIDs投与のみで臨床症状が軽減するか、によってIVIG投与を行わない判断がなされていたものと考えられた。N群での発症はみられなかったが、軽症例での冠動脈瘤形成の報告もあることから、IVIGを施行しない判断は慎重に行い、経時的に心エコーでの冠動脈変化を観察することが必須と考えられた。【結論】IVIG投与を施行せず治癒した症例は、臨床的軽症例が多かった。投与に関する判断は、臨床症状やNSAIDs反応性など総合的に行い、慎重になされるべきである。