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[P65-01] 川崎病急性期には一過性左室拡張障害が起こる
キーワード:川崎病、急性期、左室拡張障害
【背景】川崎病急性期 (AKD)に起こる冠動脈障害以外の心合併症として房室弁逆流、左心機能低下、大動脈径拡大が報告されており、近年では肺動脈径拡大や右心機能低下の報告も散見される。【目的】AKDの肺動脈径および両心機能について調べること【対象・方法】対象は2013年12月から1年間に当院に入院治療したAKD患者35例 (男女比23/12、中央年齢2.5歳 (3ヵ月-10歳))について、心エコーでの左右PA径、LVDd、LVEF、E/A、DcT、等容拡張時間 (IVRT)、等容収縮時間 (IVCT)、Tei index、E/e’ (中隔、左室、右室)を急性期 (AE)と回復期 (RE)で比較した。PA径は左右分岐部径を計測し、PA径とLVDdの比較にはZ値を用いた。統計にはWilcoxon検定を用いた。【結果】AEは中央値11病日 (7-17病日)に、REは中央値47病日 (34-89病日)に施行された。各計測結果はAE中央値 (範囲)/RE中央値 (範囲)として、右PAは0.2 (-0.9 to 1.3)/0.5 (-0.8 to 1.4)、左PAは0.3 (-1.6 to 1.7)/0.3 (-0.7 to 1.9)、LVDdは0.4 (-0.5 to 1.8)/0.6 (-1.4 to 1.8)、LVEF (%)は75 (65 to 89)/74 (65 to 88)、E/Aは1.9 (1.2 to 5.5)/1.6 (0.8 to 4.2)、DcT (ms)は103 (42 to 156)/93 (55 to 175)、IVRT (ms)は46 (30 to 95)/44 (22 to 65)、IVCT (ms)は25 (14 to 51)/24 (13 to 50)、Tei indexは0.28 (0.21 to 0.44)/0.25 (0.19 to 0.35)、E/e’ (中隔)は9.8 (6.8 to 16.2)/8.4 (6.7 to 16.6)、E/e’ (左室)は8.3 (5.2 to 16.4)/7.4 (5.3 to 13.5)、E/e’ (右室)は4.1 (1.9 to 7.0)/3.9 (2.3 to 6.6)であった。AEとREで有意差があった計測値は、IVRT (p=0.012)、E/e’ (中隔) (p=0.017)、E/e’ (左室) (p<0.001)であった。E/Aはp=0.06、PA径、LVDd、左室収縮能の指標に有意差はなかった。【結語】川崎病急性期には左室拡張障害が一過性に起こる。