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[P66-03] マルチディテクターCT(MDCT)のdual-energy撮影による川崎病冠動脈病変の石灰化組成の検討
Keywords:川崎病、石灰化、MDCT
【背景】MDCTによる遠隔期の川崎病冠動脈病変の評価は、多くの施設で行われるようになったが、近年、dual-energy撮影により画像解析技術が進歩し、実効原子番号(EZ)を得ることで構成成分を推定することが可能となった。【目的】川崎病冠動脈病変における石灰化の組成について検討する。【対象】2014年2月から2015年12月までの間に、川崎病冠動脈病変の評価目的にMDCTでdual-energy撮影をした症例のうち、画像上直径1mm以上の石灰化を有する症例を対象とした。【方法】MDCTはGEヘルスケア社の64列装置を使用し、画像解析には同社のアドバンテージワークステーションを用いた。有効視野の拡大を行った上で、石灰化病変内に直径0.7mmの対象部位(ROI)を1病変当たり3個設定し、得られたEZについて検討した。【結果】解析対象は11症例の23病変で69のROIを設定した。EZの解析値は2484個得られ、中央値は13.42、平均は13.4±0.8であった。これはシュウ酸カルシウム一水和物のEZの理論値(13.8)と近かった。【考察】川崎病冠動脈病変の早期の石灰化についてはいまだ不明な点も多い。成人の動脈硬化では石灰化病変の病理学的組成は明らかにされており、ヒドロキシアパタイト(EZ:16.1)、シュウ酸カルシウム一水和物(13.8)など多種の化合物があげられる。成人の動脈硬化に対するMDCTを用いた同様の研究において、石灰化病変のEZは平均13.8±0.8との報告があり、今回検討した川崎病の石灰化病変と近い値であったことから、石灰化の病理学的組成は両者とも同様であることが考えられた。また、今回の結果から画像解析において石灰化病変を取り除く処理の進歩につながると考えられ、これまでCTでは困難とされていた石灰化を伴った狭窄病変の評価が可能となることが考えられた。