ポスターセッション-外科治療01（P70）
HLHS・類縁疾患

[P70-06] 肺動脈絞扼手術時の術中経食道心エコーによる肺静脈verocity time integral (VTI)測定の意義

^○白石 修一¹, 杉本 愛¹, 文 智勇¹, 高橋 昌¹, 土田 正則¹, 今井 英一², 吉田 敬之², 大橋 宣子², 番場 景子² (1.新潟大学医歯学総合病院 心臓血管外科, 2.新潟大学医歯学総合病院 麻酔科)

Keywords:経食道心エコー、肺動脈絞扼術、VTI

【はじめに】術中経食道心エコー(TEE)により計測した肺静脈還流血流(PV-return)のverocity-time integral (VTI)の術前後の変化を後方視的に検討する。【方法】2011年1月から当院で行った初回肺動脈絞扼術のうち、術中TEEによりPAB前後のPV-return VTIの計測が可能であった32例を対象とした。VTIは右上肺静脈(RUPV)、右下肺静脈(RLPV)、左上肺静脈(LUPV)、左下肺静脈(LLPV)の4か所で計測を行い、右肺静脈RPV-VTI= RUPV-VTI + RLPV-VTI、左肺静脈LPV-VTI)= LUPV-VTI + LLPV-VTIとして算出した。対象は主肺動脈絞扼群(mPAB群：21例)と両側肺動脈絞扼群(BPAB群：11例)に分けて検討を行った。【結果】PAB手術時年齢は2生日～5か月、手術時体重3.4±1.0kg。診断はHLHS/variant 6例、CAVSD 6例、CoA/IAA complex 6例、SRV(Asplenia) 4例、DORV 3例、Truncus 2例、その他5例。mPAB群ではPAB前後でSaO2 93.3±6.4%→85.8±7.4%に低下しPAB flow 3.54±0.45m/s、RPV-VTI 37.1±9.7cm→22.2±7.7cm (p＜0.001)、LPV-VTI 34.8±8.0cm→25.3±11.2cm(p＜0.001)に変化した。BPAB群ではPAB前後でSaO2 93.2±3.1%→80.1±4.2%に低下しPAB flow 2.85±0.37m/s、RPV-VTI 37.1±13.6cm→20.3±6.9cm (p=0.0194)、LPV-VTI 36.2±9.9cm→21.2±8.1cm(p=0.0072)に変化した。mPAB群とBPAB群との間にVTIの変化に有意な差は認めなかった。【まとめ】PAB手術時におけるTEEによるPV-VTIは肺血流量を反映し絞扼調節の評価に有用である可能性がある。