17:10 〜 18:00
[YB03-03] 先天性心疾患合併妊産婦の血行動態変化~心室-動脈カップリングから考える~
キーワード:成人先天性心疾患、妊娠出産、心室動脈カップリング
【背景と目的】多様な血行動態の問題を抱える成人先天性心疾患(ACHD)合併妊娠・出産管理において産前後の劇的血行動態変化の中で生じる問題を明らかにするため、妊娠初期から後期への循環容量増加と、産後の後負荷増加における心機能評価として、心室収縮末期エラスタンス(Ees)と実効動脈エラスタンス(Ea)を検討した。
【対象と方法】ACHD合併妊娠自験42出産(36人)中、27出産(24人)において、心エコー図から妊娠初期・中期・後期・産褥期・遠隔期の心室拡張末期容量(LVEDV)と収縮末期容量(LVESV)を算出し、上腕収縮期血圧(SBP)・平均血圧(MBP)を測定した。Ees=SBP/LVESV、Ea=MBP/(LVEDV-LVESV)を概算し、各妊娠期における変化を比較検討した。
【結果】基礎疾患はVSD後5例、TGA後4例(Jatene後2 Mustard後1 Rastelli後1)AVSD後4例、ASD後2例、ASD前1例、DORV後3例(含Fontan1)、TOF後2例(MAPCA1) ASR前1例であった。出産時年齢29(16~36)歳、経膣分娩20例、帝王切開7例(緊急5例)であった。週数38(28~40)週、児出生体重2.7(1.7~3.3)kgであった。妊娠初期、中期、後期、産褥期、遠隔期の順に、LVEDV 60→60→64→58→50ml、SV 36→40→44→38→34mlと妊娠末期に向かい緩徐に増加し産後急激に妊娠初期の値まで減少した。後負荷指標Eaは3.07→2.80→2.44→2.66→3.06と妊娠末期に向かい減少し産後上昇した。Eesは各妊娠期で変化がなかった。しかし個々では妊娠末期から産褥期にLVEDVが低下しない例があり、妊娠末期から産褥期にかけてEesが低下している傾向にあった。
【考察】ACHD合併妊産婦において産褥期の急激な後負荷増加に対して十分な代償を得ることができずEes低下が生じる症例があり、心室容量低下が不十分である症例があると考えた。個々の血行動態変化を詳細に観察してゆくことが重要であると考えた。
【対象と方法】ACHD合併妊娠自験42出産(36人)中、27出産(24人)において、心エコー図から妊娠初期・中期・後期・産褥期・遠隔期の心室拡張末期容量(LVEDV)と収縮末期容量(LVESV)を算出し、上腕収縮期血圧(SBP)・平均血圧(MBP)を測定した。Ees=SBP/LVESV、Ea=MBP/(LVEDV-LVESV)を概算し、各妊娠期における変化を比較検討した。
【結果】基礎疾患はVSD後5例、TGA後4例(Jatene後2 Mustard後1 Rastelli後1)AVSD後4例、ASD後2例、ASD前1例、DORV後3例(含Fontan1)、TOF後2例(MAPCA1) ASR前1例であった。出産時年齢29(16~36)歳、経膣分娩20例、帝王切開7例(緊急5例)であった。週数38(28~40)週、児出生体重2.7(1.7~3.3)kgであった。妊娠初期、中期、後期、産褥期、遠隔期の順に、LVEDV 60→60→64→58→50ml、SV 36→40→44→38→34mlと妊娠末期に向かい緩徐に増加し産後急激に妊娠初期の値まで減少した。後負荷指標Eaは3.07→2.80→2.44→2.66→3.06と妊娠末期に向かい減少し産後上昇した。Eesは各妊娠期で変化がなかった。しかし個々では妊娠末期から産褥期にLVEDVが低下しない例があり、妊娠末期から産褥期にかけてEesが低下している傾向にあった。
【考察】ACHD合併妊産婦において産褥期の急激な後負荷増加に対して十分な代償を得ることができずEes低下が生じる症例があり、心室容量低下が不十分である症例があると考えた。個々の血行動態変化を詳細に観察してゆくことが重要であると考えた。