第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

要望演題

Ebsteinの病態と外科治療

要望演題10(YB10)
Ebsteinの病態と外科治療

2016年7月8日(金) 10:30 〜 11:10 第C会場 (オーロラ ウェスト)

座長:
川崎 志保理(順天堂大学医学部 胸部外科)

YB10-01~YB10-04

10:30 〜 11:10

[YB10-03] Ebstein病に対する外科治療

河田 政明1, 前川 慶之1, 吉積 功1, 宮原 義典1, 片岡 功一2,3, 佐藤 智幸2, 岡 健介2, 古井 貞浩2, 松原 大輔2, 安斉 達也2, 南 孝臣2 (1.自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児・先天性心臓血管外科, 2.自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児科, 3.自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児集中治療部)

キーワード:Ebstein病、cone手術、BDG吻合

【はじめに】Ebstein病は発症時期も胎児期から成人期にわたり、形態の多様性も著しい。三尖弁逆流・右室機能不全から手術適応となる例が多く、近年ではCarpentier法、da Siba法(cone手術)などにより多くの例で修復術が可能となった。【対象と手術】2005年~2015年に当施設で修復術7例を経験した。手術時年齢2~43歳、男女比1/6であった。術前WPW症候群の合併を2例に認め、1例は頻拍発作による緊急入院の反復から複数回のカテーテル治療後も残存した発作に対する修復術中凍結凝固治療から房室ブロックとなりPM植込みを要した。Carpentier法・da Silba法に準じた修復術4例(上大静脈-肺動脈(BDG)吻合の併用1)、上記修復術を用いないOne and a half ventricle修復術2例、三尖弁人工弁置換(生体弁)1例を行った。TVR例は三尖弁前尖も高度に変形し、腱索の線状付着*などの術中所見から弁形成による修復不能と判断した。【結果】全例耐術し、経過観察期間3ヶ月~8年10か月にて大半はNYHA機能分類1度で経過している。人工弁例で平均圧較差5mmHgを認めるが、他は狭窄所見なく、残存逆流は二弁口化した成人例で中等度の他はいずれも軽微で経過し、再度の増悪や狭窄性変化は見られない。TVR例で術後AFLに対しカテーテル治療にて軽快を得た。【考察・まとめ】Ebstein病に対するCarpentier法、da Silba法は有用な修復術式で小児例にも適用可能で、身体の成長にも追従している。右室形成(長軸方向)は右室機能・三尖弁機能に対する好影響だけでなく、術後左室機能にも好影響をおよぼす。BDG吻合はより積極的な三尖弁形成を可能とすると同時に、形成した三尖弁や機能低下を示す右室・三尖弁複合体に対する負荷軽減効果から有用な補助手技である。しかしながら僧帽弁と異なり、術前エコー・CTなどでの詳細な形態の評価が困難な場合も多く、TVR適応となる例も存在する。