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[I-EOP02-01] 小児薬物負荷心筋血流イメージングにおけるアデノシン製剤の安全性
キーワード:心筋血流イメージング, アデノシン, 川崎病
【背景】アデノシンは薬事認可されている唯一の負荷薬剤であり小児でのアデノシン製剤安全性の把握は、川崎病冠動脈障害を中心とする乳幼児心筋血流イメージング(以下MPI)適正施行のために重要である。【目的】小児のアデノシン製剤による負荷MPIの安全性を検討する。【対象と方法】1993年1月から2016年8月までに日本大学医学部附属板橋病院小児科でアデノシン製剤(ATP47例とアデノシン3例)による薬物負荷を実施した症例のうち15歳以下の重症川崎病冠動脈障害44例または退縮6例の50例を対象とした。使用核種は塩化タリウム27例とテクネチウム99mテトロフォスミン23例である。撮像アーチファクト、MPIの冠動脈CT造影または選択的冠動脈造影に対する診断能およびアデノシン製剤による副作用の種類および出現率について検討した。【結果】対象の平均年齢は6.7±4.1歳。画像診断のアーチファクトになる肝集積/体位移動は11例(22%)/5例(10%)であった。MPIの診断能で感度/特異度は全冠動脈枝で73.7%/97.7%であった。副作用の発症は11例(22%)で重大な副作用は認めなかった。副作用の内訳は軽度喘息症状1例、胸痛3例、動悸3例、胸腹部不快感2例、呼吸困難感1例、顔面紅潮1例であり、いずれも負荷終了後に速やかに症状は消失した。【考察】アーチファクトの影響は少ない条件で撮像が実施でき高いMPI診断能であった。副作用とした11例のうち喘息症状を除く10例は有害事象ではなくアデノシン製剤による薬理作用と考える。喘息発作発症が唯一の有害事象でありその発症率は2%と低率であった。アデノシン製剤は半減期が非常に短く、乳幼児で有用である。【結語】アデノシン製剤負荷による有害事象の発症は少なく、投与中止後速やかに症状は消失するため、安全性が高く小児でも有用である。なお、本研究は日大板橋病院IRB整理番号RK-170110-08として承認されている。