The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Free Paper Oral

心臓血管機能

Free Paper Oral 1 (I-OR01)

Fri. Jul 7, 2017 8:40 AM - 9:30 AM ROOM 2 (Exhibition and Event Hall Room 2)

Chair:Hideo Ohuchi(National Cerebral and Cardiovascular Center)

8:40 AM - 9:30 AM

[I-OR01-05] 一過性下大静脈閉塞中の血行動態変化を利用した脳血流量推定: MRIによる検証

斎木 宏文, 桑田 聖子, 栗嶋 クララ, 簗 明子, 岩本 洋一, 石戸 博隆, 増谷 聡, 先崎 秀明 (埼玉医科大学 総合医療センター 小児循環器科)

Keywords:脳血流, カテーテル検査, 心不全

【背景、目的】心不全患者の血行動態異常は、脳循環異常と密接に関係していることが知られており、心疾患循環異常における脳血流評価の重要性を示唆する。下大静脈(IVC)一過性閉塞による前負荷減少は、心室圧容積関係による心血行動態理解や静脈還流動態の理解に重要な役割を演じるが、今回我々は、IVC閉鎖中の血流変化を利用して、先天性心疾患患者の脳血流量を推定する方法を開発し、その妥当性をMRIで計測した実測脳血流と比較し検証した。【方法】IVC閉鎖時に閉鎖上流の静脈圧がほぼ平衡に達した際の心拍出量(CIc1)は、ほぼ上半身に分配され、かつIVC閉鎖時の心拍出量低下時にも脳血流が維持されることを仮定すると、CIc1はIVC閉鎖前の定常状態の脳血流を反映する。CIc1はIVC閉鎖中に超音波AQ法で連続的に計測した一回心拍出量に心拍数を乗じて求めた。このCIc1を心臓カテーテル検査入院中に心臓MRI検査を同時施行した(2日後)20例を対象に、MRIで計測した左右頚動脈血流量の和(CIc2)と比較した。【結果】CIc1は実測脳血流より高値を示したが、CIc2とよい相関を示し(y=2.6x-0.7、r=0.74、P<0.01)、上大静脈血流とは、過大評価分が減少し、さらによい相関を示した(y=1.4x-0.16、r=0.84、P<0.01)。また、CIc1は、従来の報告同様、心拍出量の低下に伴う脳血流低下を感知し、さらに脳血流の代用マーカーとしての(大動脈-上大静脈酸素飽和度格差)×Hb とも有意な負の相関を示した(P<0.01)。【結語】一過性IVC閉鎖に伴う血流変化を利用することにより、脳血流の定量化が可能である。今回提唱した方法論は、心臓カテーテル検査における心血管機能、循環動態評価の一環として、心疾患における脳血流、脳酸素消費量に関する情報を提供してくれ、より包括的な循環評価を可能にするものである。