一般口演 15 (I-OR15)
外科治療 2

[I-OR15-01] 心外型総肺静脈還流異常を合併した内臓心房錯位を伴う単心室症の外科治療成績

^○阪口 修平, 中野 俊秀, 檜山 和弘, 小田 晋一郎, 財満 康之, 原田 雄章, 内山 光, 宮城 ちひろ, 角 秀秋 (福岡市立こども病院 心臓血管外科)

キーワード：内臓心房錯位, 総肺静脈還流異常, 肺静脈閉塞

内臓心房錯位を伴う単心室症の中で、総肺静脈還流異常( TAPVD )合併例の予後は未だ不良である。今回、当院における本症の手術成績について検討した。
【対象】1995年から2015年に当科で経験した心外型TAPVDを合併した内臓心房錯位を伴う単心室症66例を対象とした。右側相同65例、左側相同1例、TAPVD病型はIa型9例、Ib型37例、3型12例、混合型8例、併存疾患は共通房室弁61例、肺静脈閉塞( PVO )29例、肺動脈閉鎖25例、MAPCA 5例、左心低形成症候群 2例であった。TAPVD修復術時年齢は中央値69日( 0日-6歳 )、新生児期16例であった。併用手術は体肺動脈短絡術17例、肺動脈絞扼術16例、房室弁手術11例、肺動脈形成術10例、BDG 4例、Uniforcalization 2例、Norwood 2例であった。観察期間は中央値3.5年( 最長20年 )であった。
【結果】3例が姑息術後TAPVD修復前に死亡、Ib型の2例で上大静脈を肺静脈合流部頭側で切断しBDGを施行した。TAPVD修復術施行61例の術後死亡は早期1例、遠隔期26例であった。死因はPVO5例、感染症5例、心不全4例、低酸素血症2例、突然死/不明6例、その他5例であった。術後PVOを14例( 23% )に認め、10例( 17% )にPVO解除術を施行した。累積生存率は3年60％、5年54％で、TAPVD非合併群111例の累積生存率3年78％、5年77％と比較し有意に不良であった( p=0.001 )。死亡リスクとして手術時低体重( p=0.015 )、術前PVO合併( p=0.046 )、MAPCA合併( p=0.006 )が有意であった。Fontan手術に28例が到達、7例が待機中、術後死亡は2例であった。Fontan術後心カテーテル検査はCVP 10.6±2.1mmHg, SpO2 94.3±1.2％、EDP 4.6±2.3ｍｍHgと良好な結果であった。
【結論】心外型TAPVDを合併した内臓心房錯位を伴う単心室症は合併病変に対する併用手術が多く、また術後PVO発生の頻度も高く、手術成績は未だ不良であった。一方、Fontan手術に到達した症例では良好なFontan循環を示した。