一般口演 15 (I-OR15)
外科治療 2

[I-OR15-03] Left atrial isomerismを合併する先天性心疾患に対する外科治療

^○内山 光, 中野 俊秀, 檜山 和弘, 小田 晋一郎, 原田 雄章, 財満 康之, 阪口 修平, 宮城 ちひろ, 角 秀秋 (福岡市立こども病院 心臓血管外科)

キーワード：内臓心房錯位症候群, left atrial isomerism, Fontan型手術

【背景】内臓心房錯位症候群ではその心疾患が予後を左右すると言われる。Left atrial isomerism(LAI)の合併心奇形に対する手術成績、合併症、再手術に関し検討した。【対象】1995年以降当院でLAIの診断を受け心疾患に対し外科治療を行った48例を対象とした。心内形態は35例が単心室型、13例が二心室型であった。合併奇形は下大静脈欠損36例、両側上大静脈27例、共通房室弁28例、総肺静脈還流異常1例等を認めた。【結果】単心室群では、姑息手術を26例 (PA banding10例、SP shunt9例、 Norwood3例、その他4例)に施行し、BDG/Kawashima(B/K)到達前の死亡が4例あった。B/K後死亡はなく、19例がFontan到達、3例が待機中であった。一方で、初回手術としてB/Kを8例に施行、うちFontan到達が7例、1例死亡。一期的Fontanが1例で、計27例が中央値3歳3ヶ月でFontanに到達した。Fontan後死亡が1例に見られ、累積生存率は5年、10年で85.1%、79.4%、Fontan後10年生存率は92.9%であった。術後合併症は徐脈性不整脈10例、肺動静脈瘻2例を認めた。再手術は肺動静脈瘻増悪に対するFontan導管のredirection1例、気管狭窄に対する大動脈吊り上げ1例、PM移植5例であった。二心室群の疾患は、AVSD6例、DORV2例、ASD2例、その他3例であった。7例に姑息術を施行し、中央値1歳8ヶ月で全例根治術に到達した。9例に体肺静脈の還流異常に対する心房内rerouting/septationを要した。術後死亡は1例で累積生存率は10年で87.5%であった。再手術は、左室流出路狭窄解除1例、僧帽弁置換術１例、遺残心室中隔欠損閉鎖１例、PM移植が2例であった。1例に左上大静脈-右房の狭窄に対するバルーン拡張を要した。PM移植を除いた再手術回避率は3年、5年で66.7%、55.6%であった。【結論】LAIを合併する心疾患において、単心室群ではFontan到達率も高く、術後良好なFontan循環を示した。二心室群では適切な心房内rerouting/septationにより良好な長期成績が得られた。