The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Free Paper Oral

集中治療・周術期管理

Free Paper Oral 19 (I-OR19)

Fri. Jul 7, 2017 4:05 PM - 4:55 PM ROOM 6 (Exhibition and Event Hall Room 6)

Chair:Naoki Yoshimura(Department of Cardiothoracic Surgery, University of Toyama, Graduate School of Medicine)

4:05 PM - 4:55 PM

[I-OR19-04] 先天性心疾患を有する新生児に対するトルバプタンの使用:ケースシリーズ研究

島 貴史1, 漢 伸彦1, 佐川 浩一2, 石川 司朗2 (1.福岡市立こども病院 新生児科, 2.福岡市立こども病院 循環器科)

Keywords:新生児, 先天性心疾患, トルバプタン

【序文】トルバプタン(Tolvaptan;TLV)は経口バソプレッシン(V2)受容体拮抗薬である。先行研究で新生児の腎臓はアルギニンバソプレッシンに抵抗性があり有効性が少ないとされている。そこで、新生児にTLVを使用した7例を報告する。【対象】2015年1月~2017年1月にNICUに入院した新生児の内、他利尿剤で効果不十分な先天性心疾患を有し、かつ血清Na<135mEq/Lの7例を対象とした。【方法】診療録より後方視的に検討。数値は中央値(最小値~最大値)。TLV投与前後で尿量(ml/kg/時)、血清Na濃度(mEq/L)、尿比重、心胸郭比(%)を比較。TLV投与後1日目で尿量が増加した群をresponder、増加しないか無尿(<1ml/kg/日)の群をnon-responderと定義。統計学的検討はWilcoxon符号付順位検定を行った。投与法は内服又は注腸。0.1mg/kg/日で開始し、0.2~0.4mg/kg/日まで増量。【結果】出生体重 2126g(1100~3228)、在胎週数 35週(29~38)。心疾患内訳は左心低形成症候群、僧帽弁閉鎖、動脈管開存症、純型肺動脈閉鎖2例、エプスタイン奇形、多脾症候群で、5例で乳糜胸合併。併用利尿剤はフロセミド全例、スピロノラクトン2例、カルペリチド1例。投与法は4例内服、3例注腸。尿量:投与前2.2(0.5~3.8)、投与後2.9(0.7~4.9)、p=0.018。7例中6例(85%)がresponder、29週の1例がnon-responderであった。血清Na:投与前 131(116~132)、投与後 136(122~142)、p=0.034。心胸郭比:投与前 69(61~100)、投与後 67(59~100)、p=0.027。検尿を得た4例全て尿比重低下を認めた。【考察】TLV投与された患者の85%がresponderであり、TLVは新生児でも選択肢になり得ると考えられたが未熟性が強い場合は効果が低い可能性が示唆された。また新生児心不全では消化不良で経口投与困難例が多いが注腸投与で代替できる可能性が示唆された。さらに症例数を増やして有効性を検証していく必要性がある。