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[I-OR21-04] 先天性心疾患における脊柱変形の推移
キーワード:側弯, cobb角, 成人先天性心疾患
【はじめに】先天性心疾患(CHD)において脊椎の変形が多く、側弯として治療の必要性を有する症例が多いことは広く知られている。しかしその内容は論文・学会発表ごとに様々であり、頻度などは2%から19%と大きな幅がある。これは側弯の定義だけでなく、対象となる先天性心疾患の状態(複雑性、手術の有無など)が不均一であること、そして進行性を示す報告があるにもかかわらず、年齢が不一致な状態で罹患率を求めていたためである。【目的】CHD患者のcobb角を年齢ごとに測定し、CHDと側弯の関係性を求めること。【対象および方法】1995-1999年生まれのCHD患者で10歳、15歳、20歳のいずれかの時点でレントゲン検査を施行し、cobb角測定が可能であった214例のべ391検査を対象とした。疾患の複雑性、手術内容・手術アプローチ、チアノーゼ罹患年数等を検討した。【結果】cobb角は単純型心疾患では10歳(n=128) 4.7度±3.6度(平均±SD、以下同様)、15歳(n=119) 6.0度±6.0度、20歳(n=17) 7.9度±9.4度、複雑型心疾患では10歳(n=56) 6.2度±5.5度、15歳(n=56) 8.7度±7.6度、20歳(n=15) 10.1度±6.1度であった。10歳、15歳では複雑型が単純型に比べ有意にcobb角が大きく、また単純型、複雑型とも10歳よりも15歳の方が有意にcobb角が大きかった。手術アプローチでは正中切開のみ施行した症例では5%以上の脊柱変形は右側凸の方が多かった(57%)。またチアノーゼのない症例で5%以上の変形は43%であったが、チアノーゼが一時的にでもあった症例では68%となり、1年以上チアノーゼがあった症例では94%であった。【考察】CHDが複雑であること、また年齢が上昇するほどcobb角が大きくなるというのは過去の報告から類推される結果と一致した。またチアノーゼは脊柱変形のリスク因子と考えられた。今後さらに検討する年代を広げ、どのように進行しているのかを検討することが望ましい。