第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

川崎病・冠動脈・血管

ポスター (I-P12)
川崎病・冠動脈・血管 1

2017年7月7日(金) 18:00 〜 19:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:鮎澤 衛(日本大学医学部小児科学系小児科学分野)

18:00 〜 19:00

[I-P12-01] 重症川崎病に対するinfliximabの投与経験

田中 健佑1, 新井 修平1, 浅見 雄司1, 池田 健太郎1, 下山 伸哉1, 寺川 勝也2, 笹原 豊聡2, 友保 貴博2, 宮本 隆司2, 小林 富男1 (1.群馬県立小児医療センター循環器科, 2.群馬県立小児医療センター心臓血管外科)

キーワード:川崎病, infliximab, 冠動脈病変

【目的】川崎病急性期に対する高用量免疫グロブリン(IVIG)とアスピリンの治療により冠動脈瘤の合併率は低下してきており、発熱期間も短縮した。しかし、IVIG抵抗例も11-20%存在し、これは冠動脈病変発生の危険因子である。これらIVIG抵抗例に対する治療として、抗TNF-α抗体であるインフリキシマブ(IFX)の既存治療で効果不十分な川崎病急性期に対する投与が2015年に保険収載された。当院では2015年以前から倫理委員会の承認を得てIFXを投与している。当院でこれまでにIFXを投与した重症川崎病20例の経験を報告する。【方法】当院で2010年1月から2016年12月の期間にIFXを投与した急性期川崎病20例を後方視的に検討した。【結果】年齢は13~84ヶ月(中央値34ヶ月)で、20例中15人が男児(75%)、5人が女児(25%)だった。20例中19例でIFX投与前にIVIGを2回以上投与されており、IFX投与前の総IgG量は、4g/kgが16例で最多で、3g/kgが2例、2g/kgと5g/kgがそれぞれ1例ずつだった。18例でプレドニゾロン(PSL) 2mg/kgを初回治療もしくは追加治療で使用していた。IFX投与後に追加治療を要したのは8例で、全例でIVIG(1g/kg;2例、2g/kg;6例)を使用した。そのうち1例で血漿交換を併用した。冠動脈病変を認めたのは20例中5例(25%)で、全例がIFX投与前から病変を認めていた。IFX投与病日は、冠動脈病変なしの群が10.6±4.2日、冠動脈病変ありの群が17.7±8.6日であった。IFXによる副反応は、軽度の発疹1例のみであった。【考察】今回の20例の中では、IFX投与後に新たに冠動脈瘤を形成した例はなかった。冠動脈瘤を形成しなかった群のIFX投与病日は平均10.6日であり、IFXの投与病日は考慮が必要と思われた。全例PSLを投与していたが、PSLにより不応・再燃の症状や検査値がマスクされIFXの投与が遅れた可能性が疑われた例があった。【結語】IFXはIVIG不応の急性期川崎病に時機を逸せずに投与すれば有効と思われる。