第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

川崎病・冠動脈・血管

ポスター (I-P12)
川崎病・冠動脈・血管 1

2017年7月7日(金) 18:00 〜 19:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:鮎澤 衛(日本大学医学部小児科学系小児科学分野)

18:00 〜 19:00

[I-P12-02] 9年間の抗菌薬予防内服終了後に再発したリウマチ熱の小児例

松原 大輔1, 南 孝臣1, 白石 裕比古1,2, 井上 俊1, 岡 健介1, 古井 貞弘1, 鈴木 峻1, 片岡 功一1,3, 山形 崇倫1 (1.自治医科大学 小児科, 2.城西病院 小児科, 3.自治医科大学 小児手術・集中治療部)

キーワード:再発リウマチ熱, 抗菌薬予防内服, 溶連菌感染症

【背景】リウマチ熱(RF)は、本邦では日本小児循環器学会の希少疾患サーベイランスに指定された疾患であり、平成17年~26年の報告は年2~10例と非常に少ない。また、抗菌薬予防内服が可能になる以前は、生涯で75%の患者が再発するとされていたが、抗菌薬予防内服が一般的となり、現在、その再発についての実像は明らかでない。今回、3歳時にRFに罹患後、ベンジルペニシリンベンザチンを12歳まで内服し中止されたが、14歳時にRFを再発した1例を経験した。【症例】14歳男子。3歳6か月時にRFを発症した。Jonesのクライテリア(1992)のうち主症状2項目(多関節炎、輪状紅斑)と副症状(関節痛、赤沈・炎症反応上昇)を認めた。心炎や心電図異常はなく、アスピリンとベンジルペニシリンベンザチン 20万単位/日の内服後に症状は軽快した。以後、12歳までの9年間にわたり予防内服を継続された。14歳時、咽頭炎を発症し、咽頭A群溶連菌迅速抗原陽性のため、AMPC 1500mg/日分3の内服を開始された。翌日に解熱したが、7日後から発疹が出現、10日後から輪状紅斑と38度の発熱、右第3指と左第2指のMP関節痛を認めたため、当科を紹介受診した。心臓超音波検査および心電図所見に異常はなかった。AMPC 1500mg/日を1か月間追加内服後、RF再発として500mg/dayの予防内服を再開した。【考察と結論】RFの再発予防に関しては、2009年にAmerican Heart Association から推奨が出されており、心炎のないRFの予防内服期間は、5年あるいは21歳までのいずれか長い方とされている。2000年頃の本邦の文献には関節炎のみの場合5年間、心炎で20歳までと書かれているものもある。しかし、本症例はAHAの推奨に従い21歳までの内服が必要であることを示唆している。抗菌薬の予防内服を無症状の小児に10年以上継続させることは容易ではないが、小児の溶連菌感染症が増加している昨今、RFを診断し、推奨に従って予防内服を継続することは重要と考えられた。