第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

外科治療

ポスター (I-P14)
外科治療 1

2017年7月7日(金) 18:00 〜 19:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:櫻井 一(中京病院 心臓血管外科)

18:00 〜 19:00

[I-P14-06] PHACE症候群に合併した1歳の遠位弓部大動脈瘤に対する手術

落合 由恵1, 城尾 邦彦1, 恩塚 龍士1, 久原 学1, 佐野 由佳1, 幾島 栄悟1, 徳永 滋彦1, 宗内 淳2, 渡辺 まみ江2 (1.九州病院 心臓血管外科, 2.九州病院 小児科)

キーワード:PHACE症候群, 遠位弓部大動脈瘤, 外科治療

PHACE症候群は稀な神経皮膚症候群で,後頭蓋の先天奇形,頭頸部の血管腫,脳血管異常眼球異常など多彩な症状を呈し,大動脈弓部,下行大動脈の複雑で長いセグメントの縮窄,瘤を伴う事がある.今回,蛇行した遠位弓部大動脈瘤を伴ったPHACE症候群の女児に対して手術を施行したので報告する.症例は生下時より左耳介部の血管腫を認め,左側頭部全体に増大した.精査の結果,顔面の乳児血管腫,内頸動脈の蛇行,弓部大動脈の瘤からPHACE症候群と診断.βブロッカーとアスピリンの内服が開始されていた.1歳5ヵ月時に施行した造影CTで遠位弓部大動脈の蛇行した嚢状瘤が径25 mmと,5ヵ月前の21 mmより拡大を認めたため,1歳9ヵ月,10 kgの体格で手術を施行.左第4肋間開胸にて下行大動脈を剥離.心膜切開し上行大動脈および上行大動脈から左総頸動脈と左椎骨動脈が起始し,動脈瘤に移行する部位を剥離.主肺動脈脱血-下行大動脈送血で人工心肺を開始,心拍動下に12 mmのGore-Tex グラフトを左椎骨動脈が起始した後の弓部大動脈と端端吻合した.細い下行大動脈と口径差を合わせるために,下行大動脈を斜切開し,グラフトと端端吻合した.大きな蛇行した動脈瘤を減圧させるために,動脈瘤から出る左鎖骨下動脈を結紮,瘤を切開して大きな流入血管が残存してないことを確認した.術後に300ml/日の乳び胸水が続いたため,術後8日目に再左開胸を行い,リンパ液の漏出部位,胸管を結紮.その後乳び胸水は著明に減少した.術後のCTではグラフトの形状もよく吻合部位に問題はなかった.【結語】非常に稀な1歳のPHACE症候群の蛇行した遠位弓部大動脈瘤に対して,12 mmの人工血管を用いて,左開胸,主肺動脈脱血-下行大動脈送血で,弓部大動脈から下行大動脈までのgraft interpositionを安全に施行できた.