08:40 〜 10:25
[I-S01-01] Fontan循環動態評価における4D flow MRIを用いた血流解析
キーワード:4D flow MRI, fontan circulation, hemodynamics
【背景】4D flow MRIを元にした血行力学的解析や血流可視化によって、wall share stressやエネルギー損失、三次元的な血流の分布の把握が可能になった。今回、Fontan循環動態把握のため、4D flow MRIで評価を行った2症例を提示する。
【症例】症例1:右室型単心室、肺動脈閉鎖の14歳男児。2歳時にTCPC(18mm ePTFE conduit)を施行。術後3年目にPLE発症、ステロイドで寛解維持しているが減量できず、骨粗鬆症を発症した。術後12年目のカテーテル検査では肺動脈平均圧15mmHg。Conduit中央に石灰化を伴う狭窄所見を認めたが、圧較差は認めず。4D flow MRIによる血流解析では狭窄部でのwall share stressやflow energy lossは有意ではなかった。この結果よりconduit交換のみではPLE改善が見込めないことが示唆された。内科治療継続中である。
症例2:多脾症、右室型単心室、奇静脈結合、左上大静脈遺残の19歳女性。5歳時にTCPS(SVC-右肺動脈吻合、LSVC-左肺動脈吻合)、6歳時にTCPC (肝静脈-14mm ePTFE conduit-主肺動脈吻合)を施行。14歳頃よりチアノーゼが出現し、19歳時にはSpO2 85%まで低下。3DCTでは右肺動脈に狭窄を認め、肝静脈血流が左肺にのみ流れるため生じた右肺内の肺動静脈瘻(AVF)の存在を疑った。4D flow MRIによる血流解析では、右肺血管抵抗の低下によってhepatic factor(HF)は右肺にも分布していることが判明した。さらに仮想治療シミュレーションでAVF塞栓術後の血流様式を構成すると、HF分布比が悪化しHFが左肺のみに向かうことが判明した。現在、AVF評価のため血管造影検査待機中である。
【結論】導管狭窄やHFの不均等分布といったFontan術後に特徴的な問題に対して4D flow MRIによる血流解析を行い、詳細な病態の把握が可能であった。4D flow MRIとそれを元にした血流解析はFontan循環の複雑な血行動態を把握し、再手術の適応や術式を吟味する上で有用であると考える。
【症例】症例1:右室型単心室、肺動脈閉鎖の14歳男児。2歳時にTCPC(18mm ePTFE conduit)を施行。術後3年目にPLE発症、ステロイドで寛解維持しているが減量できず、骨粗鬆症を発症した。術後12年目のカテーテル検査では肺動脈平均圧15mmHg。Conduit中央に石灰化を伴う狭窄所見を認めたが、圧較差は認めず。4D flow MRIによる血流解析では狭窄部でのwall share stressやflow energy lossは有意ではなかった。この結果よりconduit交換のみではPLE改善が見込めないことが示唆された。内科治療継続中である。
症例2:多脾症、右室型単心室、奇静脈結合、左上大静脈遺残の19歳女性。5歳時にTCPS(SVC-右肺動脈吻合、LSVC-左肺動脈吻合)、6歳時にTCPC (肝静脈-14mm ePTFE conduit-主肺動脈吻合)を施行。14歳頃よりチアノーゼが出現し、19歳時にはSpO2 85%まで低下。3DCTでは右肺動脈に狭窄を認め、肝静脈血流が左肺にのみ流れるため生じた右肺内の肺動静脈瘻(AVF)の存在を疑った。4D flow MRIによる血流解析では、右肺血管抵抗の低下によってhepatic factor(HF)は右肺にも分布していることが判明した。さらに仮想治療シミュレーションでAVF塞栓術後の血流様式を構成すると、HF分布比が悪化しHFが左肺のみに向かうことが判明した。現在、AVF評価のため血管造影検査待機中である。
【結論】導管狭窄やHFの不均等分布といったFontan術後に特徴的な問題に対して4D flow MRIによる血流解析を行い、詳細な病態の把握が可能であった。4D flow MRIとそれを元にした血流解析はFontan循環の複雑な血行動態を把握し、再手術の適応や術式を吟味する上で有用であると考える。