The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

一般心臓病学

Poster (II-P17)

Sat. Jul 8, 2017 6:15 PM - 7:15 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Takashi Kuwahara(Division of Pediatric Cardiology, Children's Medical Center, Gifu Prifectural Medical Center)

6:15 PM - 7:15 PM

[II-P17-01] 神経性食思不振症における心機能低下は適切な治療で改善する

末永 智浩1, 鈴木 啓之1, 立花 伸也1, 垣本 信幸1, 武内 崇1, 渋田 昌一2, 竹腰 信人3 (1.和歌山県立医科大学 小児科学教室, 2.紀南病院 小児科, 3.橋本市民病院 小児科)

Keywords:神経性食思不振症, 一回拍出量, 心係数

【背景】我々は、昨年の本学会で神経性食思不振症(Anorexia nervosa 以下AN)では徐脈に加え一回拍出量(以下SV)が健常者に比べ低下し、左室収縮速度の低下がSV低下に関与すると報告した。今回はANへの治療前後での心機能の変化を検討した。【対象・方法】対象は当科で入院加療を行ったAN患者6名(女子5名、男子1名、13歳4か月~14歳11か月)。心雑音や後遺症のない川崎病のフォローで当科を受診した9名(女子7名、男子2名)を対照群とした。これら2群に対して心臓超音波検査を行い左室拡張末期径(LVDd)や左室内径短縮率(LVFS)を測定、右室流出路血流のドプラー波形から一回拍出量(以下SV)および心係数(CI)を算出した。左室収縮時間(LVST)はMモードから算出した。LVDdやSVは体表面積で除して補正、LVSTはRR時間の3乗根で除して心拍数(HR)による補正を行った。AN群は入院時と退院時の2回のデータを比較した。【結果】入院期間は、19~261日で中央値は77日。6例中5例は中心静脈栄養+行動療法、1例は行動療法のみで治療し、経口摂取で体重が増加するのを確認して退院した。治療により体重(kg)は中央値35.6から37.7、BMIは13.6から15.3に上昇、いずれも統計的に有意であった。HR(bpm)は中央値で治療前(以下、前)48.8、治療後(以下、後)64.0、対照群71.2、SV(mL)は前32.4、後48.5、対照群47.2、CIは前1.6、後3.6、対照群3.5で、いずれも治療により有意に改善し、対照群との有意差が消失した。LVDd(mm)は前33.5、後32.5、対照33.6、LVFS(%)は前38.5、後41.5、対照39.9で治療前後ともに対照群と有意差なく、LVST(ms)は前400、後357、対照330で治療により有意に短縮した。【考察】ANにおけるSV低下は容量ではなく左室収縮速度低下が問題で、適切な治療により改善することが明らかになった。低栄養状態は左室収縮速度を低下させる。