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[II-P21-07] 重篤な気道閉塞症状を伴った先天性心疾患の2例:広域医療連携の現状と問題点
キーワード:医療連携, 先天性心疾患, 気道閉塞
【はじめに】当院は救命救急センターを持つ地方中核病院であるが、心臓血管外科は併設されていない。今回重篤な呼吸不全での救急搬送後に気道閉塞を伴う先天性心疾患と診断、高次機能病院への搬送を経て救命に至った症例を経験した。広域医療連携の現状と問題点を報告する。【症例1】7ヶ月女児。右側大動脈弓を伴う完全大血管転位症(TGA)に対しJatene手術を受け、他院で経過観察されていた。前日から喘鳴が出現し、当日顔色不良のため救急搬送、気管内挿管・人工呼吸管理を要した。気管支鏡検査、CT検査で気管下部が上行大動脈に圧排され狭窄していた。入院9日目に抜管、11日目に手術目的に転院となった。なお2ヶ月前に喘鳴・低酸素血症を主訴に入院加療したが気管狭窄の診断はなされていなかった。【症例2】8ヶ月男児。突然の呼吸不整から心肺停止に至り、救急隊によるCPR後にドクターヘリで当院搬送(当院初診)、気管内挿管・人工呼吸管理となった。心エコー検査、造影CT検査でPA sling、気管狭窄症と診断した。手術適応と判断したが、受け入れ施設への依頼に難渋した。入院3日目に専門チームの派遣を受け、呼吸循環動態の安定が図られた。入院4日目、自衛隊ヘリにて都内施設へ転院となった。【考察】症例1は他院との事前の情報共有が不十分だったため、2ヶ月前の入院時に認めた喘鳴がTGA術後合併症とは予見できず、今回の重篤な呼吸不全を招いた。主な医療機関間の情報共有のみでは緊急時の対応が困難なことがある。患者家族も情報共有の一端を担うことが必要と思われた。症例2は未だ予後不良な疾患であり、早期診断と専門施設との連携が予後改善に必須である。しかし緊急時に受け入れ可能な医療機関と連携を取ることは必ずしも容易ではないことが問題である。【結語】医療の集約化が進む中で、救命センターを持つ地方中核病院として周囲とどのような医療連携を構築するかが今後の課題と思われた。