第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

画像診断

ポスター (II-P22)
画像診断 1

2017年7月8日(土) 18:15 〜 19:15 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:糸井 利幸(京都府立医科大学小児科)

18:15 〜 19:15

[II-P22-05] 術後長期間を経過した術式不明の先天性心疾患の画像診断の考え方 大動脈離断複合術後18年の1例を通して

堀口 泰典 (国際医療福祉大学 熱海病院 小児科)

キーワード:術後長期間経過, 3次元画像診断, 大動脈離断複合

【背景】出生直後「修復術」を受けた長期生存例が増えているがカルテの廃棄などのため術式が不明であることを多々経験する。【目的】術後長期間を経過した術式不明の患者さんの心血管系の評価に3Dを用いる画像診断が有用であった1例の大動脈離断複合(IAA)を通して、画像診断の用い方を検討し報告する。【症例】検査時18歳11か月男児。身長122cm、体重16.8Kg、5P-症候群、IAA(type不明)と診断され生後1か月時修復術(詳細不明)を受けた。5歳9か月時転居し初診。Echoでは遠位arch以降と肺動脈弁以降は描出困難であったが左室壁肥厚なく左室駆出率70%前後と良好であり心電図でも左軸偏位以外正常範囲であった。胸部XP上、心拡大・肺うっ血無く、高血圧、上下肢間圧差も無かった上、発育発達障害著しく会話・歩行共不可能であるため経過観察のみとなっていた。しかし両親も高齢となり「何かあった場合」に適切な治療が受けられるように心血管系全体を明らかにしておく目的で3D-CT検査を実施した。末梢より造影剤2ml/kgを持続注入し撮影、3D画像を作成したが、画像上、大血管位正常。Archは主要分枝正常で左鎖骨下動脈分枝後盲端となっていた。下行大動脈(Des.Ao)は上行大動脈に端側吻合され狭窄は無かった。【考案】本例はIAA Celoria-Patton type Aであった。最近、Arch修復術は端々吻合が多くEchoでは、左鎖骨下動脈分枝後にDes.Aoを探していたためDes.Aoを捉えられなかった。長い経過では術式の変遷がありEchoでは最近とは異なる術式の可能性も考えるべきだが、不明な場合は躊躇なくCT、MRIなどの3D画像検査を実施し、形態を確定すべきと思われた。【結論】術後長期間を経過した術式不明のACHDの場合、まずCT、MRI等の3D画像検査により全体像を把握することが肝要と思われた。