18:15 〜 19:15
[II-P27-03] 成人先天性重複僧帽弁口症に対するbridging tissue切離を伴う僧帽弁形成術の1治験例 - 術後12年の追跡 -
キーワード:重複僧帽弁口症, 僧帽弁形成術, bridging tissue
【背景】
重複僧帽弁口症はbridging tissueにより僧帽弁口が2つに分割された極めて稀な先天性僧帽弁疾患である. Bridging tissueは弁の安定性を維持する重要な組織で, 形成の際に切離すべきでないとされている. 我々は逆流を呈する重複僧帽弁口症例に対してbridging tissue切離を伴う僧帽弁形成術を施行し, 長期間逆流を制御できた症例を経験したため報告する.
【症例と手術術式】
症例は20歳男性. 労作時息切れの精査にて重複僧帽弁口症を指摘された. 経胸壁超音波検査にてほぼ同大の両僧帽弁口から中等度以上の逆流を認めた. LVDd/Ds 58.7 mm/43.9 mm, EF 49 %と左室機能低下を認めた.
経中隔アプローチ, 大動脈非遮断心拍動下に僧帽弁を観察すると, bridging tissueにより分割されたほぼ同大の僧帽弁口を認めた. 逆流は前外側弁口においてP1, P2間のcleftから, 後内側弁口において後交連から生じていた. 単純なcleft, 後交連閉鎖では弁口面積の狭小化が懸念されたため, bridging tissueを切離した. その際にbridging tissueに連なる腱策は温存した. cleftと後交連に加えて前交連を縫合閉鎖し, Physio ring 28 mmで弁輪縫縮を行った.
【結果】
術後超音波検査にて僧帽弁逆流は軽度であった. 術後12年経過した現在, 僧帽弁逆流は軽度のまま経過し, 平均圧較差1.9 mmHgと有意な僧帽弁狭窄は認めていない. LVDd/Ds 54.3 mm/36.2 mm, EF 61 %と左室機能は保たれている. 現在患者は無症状で社会復帰しており, 外来経過観察を継続している.
【結語】
ほぼ同大に分割された両弁口から逆流を認める重複僧帽弁口症症例に対してbridging tissue切離を伴う僧帽弁形成術を施行することで, 狭窄を来さずに長期に逆流を制御することが可能であった.
重複僧帽弁口症はbridging tissueにより僧帽弁口が2つに分割された極めて稀な先天性僧帽弁疾患である. Bridging tissueは弁の安定性を維持する重要な組織で, 形成の際に切離すべきでないとされている. 我々は逆流を呈する重複僧帽弁口症例に対してbridging tissue切離を伴う僧帽弁形成術を施行し, 長期間逆流を制御できた症例を経験したため報告する.
【症例と手術術式】
症例は20歳男性. 労作時息切れの精査にて重複僧帽弁口症を指摘された. 経胸壁超音波検査にてほぼ同大の両僧帽弁口から中等度以上の逆流を認めた. LVDd/Ds 58.7 mm/43.9 mm, EF 49 %と左室機能低下を認めた.
経中隔アプローチ, 大動脈非遮断心拍動下に僧帽弁を観察すると, bridging tissueにより分割されたほぼ同大の僧帽弁口を認めた. 逆流は前外側弁口においてP1, P2間のcleftから, 後内側弁口において後交連から生じていた. 単純なcleft, 後交連閉鎖では弁口面積の狭小化が懸念されたため, bridging tissueを切離した. その際にbridging tissueに連なる腱策は温存した. cleftと後交連に加えて前交連を縫合閉鎖し, Physio ring 28 mmで弁輪縫縮を行った.
【結果】
術後超音波検査にて僧帽弁逆流は軽度であった. 術後12年経過した現在, 僧帽弁逆流は軽度のまま経過し, 平均圧較差1.9 mmHgと有意な僧帽弁狭窄は認めていない. LVDd/Ds 54.3 mm/36.2 mm, EF 61 %と左室機能は保たれている. 現在患者は無症状で社会復帰しており, 外来経過観察を継続している.
【結語】
ほぼ同大に分割された両弁口から逆流を認める重複僧帽弁口症症例に対してbridging tissue切離を伴う僧帽弁形成術を施行することで, 狭窄を来さずに長期に逆流を制御することが可能であった.