第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション 7 (II-PD7)
低出生体重で出生したCHD児の管理、治療戦略

2017年7月8日(土) 08:30 〜 10:00 第7会場 (2F 研修交流センター 音楽工房ホール)

座長:中嶌 八隅(聖隷浜松病院小児循環器科)
座長:前野 泰樹(久留米大学小児科)

08:30 〜 10:00

[II-PD7-03] 初回入院中に手術を要する先天性心疾患を持つ極低出生体重児の生命、発達、発育予後

金子 幸裕, 阿知和 郁也, 吉竹 修一, 武井 哲理 (国立成育医療研究センター病院 心臓血管外科)

キーワード:極低出生体重, 先天性心疾患, 知能発達

【目的】先天性心疾患(CHD)を有する極低出生体重児の治療成績はいまだ不良である。我々は、体重増加が望めない例と循環不全による合併症発生の危険が高いと考えられる例は早期に姑息術を中心とした手術を行う方針を採っている。遠隔成績を後方視的に検討し、適切な手術方針について考察する。【方法】初回入院中に心臓手術を行った極低出生体重児を対象とした(検討群, n = 13)。動脈管開存のみ有する例は除外した。評価項目は生命、発達、発育予後とした。対照群は、初回入院中にCHDに対する手術を行った出生体重1.5-2.0 kg の児の群(対照群1, n = 17)と、同一施設で管理したCHDを有さない極低出生体重児の群(対照群2, n = 199)とした。【結果】生命予後は、検討群で30日死亡なし、在院死亡8%、総死亡15%(平均観察期間5年1か月)、対照群1で30日死亡なし、在院死亡18%、総死亡24%(平均観察期間4年7か月)であり、有意差を認めなかった。発達指数75以下を発達不良、体重10パーセンタイル以下を発育不良と定義すると、検討群は発達不良36%、発育不良73%、対照群1は発達不良23%、発育不良57%(N.S.)、対照群2は、発達不良12%、発育不良25% (Fisher , P = 0.03)であった。検討群の発達不良例は、全例術前合併症を有し(脳室出血3例、虚血性腸炎1例)術前合併症の発生は発達不良の危険因子であった。発育は、危険因子を見いだせなかった。【結論】初回入院中に手術を要するCHDを持つ極低出生体重児の生命予後は良好だった。発達や発育は不良であった。発達のためには、ごく早期の手術で循環の安定化を図り術前合併症を防ぐ方針が考えられるが、生命予後の悪化につながらないか慎重な検討を要する。